戦場に地上軍を派兵、無法な軍事占領を支援する「イラク特措法案」を阻止しよう                      2003年6月17日 日本平和委員会                       政府は6月13日、イラク特別措置法案を国会に提出した。これは、米英軍による無法 な侵略戦争を追認し、イラクの軍事占領支配をすすめる米英軍を支援するため、戦後初め て、現に戦闘が行われている戦場に地上軍を派兵するものである。アメリカの“ブーツ・ オン・ザ・グラウンド”の要求にもとづき、自衛隊の海外派兵を拡大し、日本国憲法を蹂躙 するこのような悪法を、私たちは断じて許すことはできない。  この悪法は、あたかも米英によるイラク侵略戦争を国連安保理決議に基づくものである かのように描き出し、この侵略戦争を追認、正当化しようとするものである。しかし、こ の戦争がいかなる国連決議の根拠もなく行われた国連憲章違反の侵略戦争であることは明 白である。しかも、法案提出をめぐる過程で自民党内の要求により「大量破壊兵器廃棄」 の活動が削除されたことにみられるように、イラクによる大量破壊兵器の隠蔽を最大の理 由にしてすすめられた戦争の「大義」そのものが根本から崩れている。占領軍はこの無法 な侵略戦争の延長線上にあるものである。そもそも占領軍への参加は「自衛のための最小 限度を超える」と政府が答弁していたものであり、このような占領軍への協力は二重に許 されない。  法案は、自衛隊部隊が占領軍の同意だけでイラク国内で活動できるようにし、「イラク 国内における安全及び安定を回復するための活動」という名目さえつけば、占領軍に対し て武器・弾薬の輸送を含む様々な支援活動を行うことができるようにしようとしている。 しかも法案は自衛隊部隊が非戦闘地域でのみ活動するとしているが、米占領軍司令官が「 イラク全土が戦闘地域」と明言しているように、戦闘地域と非戦闘地域を区分けすること など不可能であり、派遣部隊が戦闘に巻き込まれる危険にさらされることは必至である。  これによって武装した自衛隊部隊を送り込めば、平和憲法の下で戦後一度も戦争で他国 民を殺してこなかった日本がイラクの民衆に銃を向け、他国民を殺すことにもなりかねな い。  平和憲法を持つ日本がやるべきは、このような海外派兵による占領軍への支援ではなく 、国連を中心としたイラク国民の意思を尊重した復興への協力である。国連がこうした方 向で役割を果たすよう、積極的な働きかけを行うべきである。  私たちはこの悪法を阻止すると共に、米ブッシュ政権の無法な戦争の追認と拡大を許さ ず、国連を中心にイラク国民の意思を尊重した復興が実現するよう、奮闘するものである 。