声明
有事法案の衆院での強行に断固として抗議する
参院での徹底審議を求め、廃案のために全力を尽くそう

2003年5月15日　日本平和委員会

本日、与党と民主党などは、「修正」有事3法案の採決を衆院本会議で強行した。
私たちは国会の歴史に重大な汚点を残す暴挙に、満身の怒りをもって抗議する。
この法案は、イラク侵略戦争のようなアメリカの無法な先制攻撃に日本が参戦し、
海外での自衛隊の武力行使に初めて道を開くとともに、この戦争に国民を罰則つ
きで動員する体制をつくるものである。それは憲法９条をはじめ憲法の平和民主
条項を何重にもじゅうりんするものであり、断じて許すことはできない。与党と
民主党が合意した「修正」なるものは、その本質をなんら変えるものではない。
特に民主党は、昨年7月以降、この法案の問題点として、「『周辺事態』と『武
力攻撃事態』における米軍の行動とわが国の対処との関係が不明確であり、政府
の恣意的な判断によってわが国を武力紛争に巻き込む懸念がある」ことをあげて
いたが、その法案の問題点はなんら払拭されていない。むしろこの間の国会答弁
によって、アメリカの無法な先制攻撃に日本が参戦する危険は、いよいよ明瞭に
なっている。また、基本的人権を最大限尊重すると一般的にうたったとしても、
戦争の遂行のために「必要最小限」の自由と権利の制限が行われることもうたっ
ているのであるから、特に変化はなく、戦争協力を拒否した場合の罰則規定もそ
のままである。
にもかかわらず、この修正内容に対するまともな審議すら保障せず採決を強行し
たことは、議会制民主主義のじゅうりんであり、国会に汚点を残す言語道断の暴
挙である。
同時にこのことは、法案推進勢力が国民に対してまともな説明ができないし、避
けようとしていることを物語っている。ここに彼らの最大の弱点がある。もし、
無法なイラク戦争に反対した多数の国民と憲法の平和民主条項を愛する国民がこ
の法案の本質を知るならば、急速に反対世論を広げることはできる。
私たちは、「良識の府」参議院でのこの法案の徹底した審議を求めるものである。
そして、憲法9条を守り、世界の平和ルールを取り戻し、民主主義を求めるすべ
ての人々と共に、この法案を廃案に追い込むため、全力を尽くすことを表明する
ものである。