日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(MSA秘密保護法―抄)

昭和二九年七月一日施行

第一条
 1 この法律において「日米相互防衛援助協定」、日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定及び日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定をいう。
 2 この法律において「装備品等」とは、船舶、航空機、武器、弾薬その他の装備品および資材をいう。
 3 この法律において「防衛秘密」とは下に掲げる事項及びこれらの事項に係わる文書、図画又は物件で、公になっていないものをいう。
 1 日米相互防衛援助協定等に基き、アメリカ合衆国政府から供与された装備品等について次に掲げる事項
 イ、構造又は性能
 ロ、製作、保管又は修理に関する技術
 ハ、使用の方法
ニ、品目及び数量
2 日米相互防衛援助協定等に基き、アメリカ合衆国政府から供与された情報で、装備品等に関する前号イからハまでに掲げる事項に関するもの。
第二条
 防衛秘密を取り扱う国の行政機関の長は、政令で定めるところにより、防衛秘密について表記を附し、関係者に通知する等防衛秘密の保護上必要な措置を講ずるものとする。
第三条
 次の各号の一に該当するものは一〇年以下の懲役に処する。
 1 わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもって、又は不当な方法で、防衛秘密を探知し、又は収集したもの
 2 わが国の安全を害する目的をもって、防衛秘密を他人に漏らした者
 3 防衛秘密を取り扱うことを業務とするもので、その業務により取得し、又は領有した防衛秘密を他人に漏らした者
 4 前項第2号又は第3号に該当する者を除き、防衛秘密を他人に漏らした者は、五年以下の懲役に処する。
 5 前二項の未遂罪は、罰する。
第四条
 1 防衛秘密を取り扱うことを業務とするもので、その業務により知得し、または領有した防衛秘密を過失により他人に漏らした者は、二年以下の禁こまたは五万円以下の罰金に処する。
2 前項に掲げるものを除き、業務により知得し、または領有した防衛秘密を過失により漏らした者は、一年以下の禁こまたは三万円以下の罰金に処する。
第五条
 第三条第一項の罪の陰謀をした者は五年以下の懲役に処する。
 2 第三条第二項の罪の陰謀をした者は、三年以下の懲役に処する。
 3 第三条第一項の罪を犯すことを教唆し、又は扇動したものは、前項と同様とする。
 4 前項の規定は、教唆されたものが、教唆に関わる犯罪を実行した場合において、刑法総則に定める教唆の規定の適用を排除するものではない。
第六条
 (省略)
第七条
 (省略)


<付記>2002年3月22日、警視庁公安部は在日ロシア通商代表部のシェルコノゴフ元幹部が元航空自衛隊隊員で東京都世田谷区の計測機器代理店の社長に対し、米軍の秘密情報を入手するように指示したとして、この法律の「秘密漏洩教唆」の疑いでこの元幹部を書類送検し、初の適用となった。


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