(昭和二十九年六月九日法律第百六十五号)
最終改正:平成一三年一一月二日法律第一一五号

 第一章 総則(第一条―第六条)
 第二章 指揮監督(第七条―第九条)
 第三章 部隊
 第一節 陸上自衛隊の部隊の組織及び編成(第十条―第十四条)
 第二節 海上自衛隊の部隊の組織及び編成(第十五条―第十九条)
 第三節 航空自衛隊の部隊の組織及び編成(第二十条―第二十一条)
 第四節 部隊編成の特例及び委任規定(第二十二条・第二十三条)
 第四章 機関(第二十四条―第三十条)
 第五章 隊員
 第一節 通則(第三十一条―第三十四条)
 第二節 任免(第三十五条―第四十一条)
 第三節 分限、懲戒及び保障(第四十二条―第五十一条)
 第四節 服務(第五十二条―第六十五条)
 第五節 予備自衛官等
 第一款 予備自衛官(第六十六条―第七十五条)
 第二款 即応予備自衛官(第七十五条の二―第七十五条の八)
 第三款 予備自衛官補(第七十五条の九―第七十五条の十三)
 第六章 自衛隊の行動(第七十六条―第八十六条)
 第七章 自衛隊の権限(第八十七条―第九十六条)
 第八章 雑則(第九十七条―第百十七条の二)
 第九章 罰則(第百十八条―第百二十二条)
 附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、自衛隊の任務、自衛隊の部隊の組織及び編成、自衛隊の行動及び権限、隊員の身分取扱等を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「自衛隊」とは、防衛庁長官(以下「長官」という。)、防衛庁副長官及び防衛庁長官政務官並びに防衛庁の事務次官及び防衛参事官並びに防衛庁本庁の内部部局、防衛大学校、防衛医科大学校、統合幕僚会議、技術研究本部、契約本部その他の機関(政令で定める合議制の機関を除く。)並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊並びに防衛施設庁(政令で定める合議制の機関並びに防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第五条第二十四号又は第二十五号に掲げる事務をつかさどる部局及び職で政令で定めるものを除く。)を含むものとする。
 2  この法律において「陸上自衛隊」とは、陸上幕僚監部並びに陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
 3  この法律において「海上自衛隊」とは、海上幕僚監部並びに海上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
 4  この法律において「航空自衛隊」とは、航空幕僚監部並びに航空幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。
 5 この法律において「隊員」とは、防衛庁の職員で、長官、防衛庁副長官、防衛庁長官政務官、第一項の政令で定める合議制の機関の委員、同項の政令で定める部局に勤務する職員及び同項の政令で定める職にある職員以外のものをいうものとする。
(自衛隊の任務)
第三条  自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。
 2  陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。
(自衛隊の旗)
第四条 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、自衛隊旗又は自衛艦旗を自衛隊の部隊又は自衛艦に交付する。
 2 前項の自衛隊旗及び自衛艦旗の制式は、政令で定める。
(表彰)
第五条  隊員又は防衛庁本庁の防衛大学校、防衛医科大学校、技術研究本部、契約本部その他の政令で定める機関、自衛隊の部隊若しくは機関若しくは防衛施設庁の地方支分部局で、功績があつたものに対しては長官又はその委任を受けた者が、特に顕著な功績があつたもフに対しては内閣総理大臣が表彰する。
 2 前項に定めるもののほか、自衛隊の表彰に関し必要な事項は、政令で定める。
(礼式)
第六条 自衛隊の礼式は、内閣府令の定めるところによる。
第二章 指揮監督
(内閣総理大臣の指揮監督権)
第七条 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。
(長官の指揮監督権)
第八条 長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。ただし、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長の監督を受ける部隊及び機関(以下「部隊等」という。)に対する長官の指揮監督は、それぞれ当該幕僚長を通じて行うものとする。
(幕僚長の職務)
第九条  陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長(以下「幕僚長」という。)は、長官の指揮監督を受け、それぞれ陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の隊務及び所部の隊員の服務を監督する。
 2  陸上幕僚長は陸上自衛隊の隊務に関し、海上幕僚長は海上自衛隊の隊務に関し、航空幕僚長は航空自衛隊の隊務に関しそれぞれ最高の専門的助言者として長官を補佐する。
 3 幕僚長は、それぞれ部隊等に対する長官の命令を執行する。
第三章 部隊
第一節 陸上自衛隊の部隊の組織及び編成
(編成)
第十条 陸上自衛隊の部隊は、方面隊その他の長官直轄部隊とする。
 2 方面隊は、方面総監部及び師団、旅団その他の直轄部隊から成る。ただし、方面総監部及び師団以外の部隊の一部を編成に加えないことができる。
 3 師団は、師団司令部及び連隊その他の直轄部隊から成る。
 4 旅団は、旅団司令部及び連隊その他の直轄部隊から成る。
(方面総監)
第十一条  方面隊の長は、方面総監とする。
 2 方面総監は、長官の指揮監督を受け、方面隊の隊務を統括する。
(師団長)
第十二条  師団の長は、師団長とする。
 2 師団長は、方面総監の指揮監督を受け、師団の隊務を統括する。
(旅団長)
第十二条の二  旅団の長は、旅団長とする。
 2 旅団長は、方面総監の指揮監督を受け、旅団の隊務を統括する。
(方面隊、師団及び旅団の名称等)
第十三条  方面隊、師団及び旅団の名称並びに方面総監部、師団司令部及び旅団司令部の名称及び所在地は、別表第一のとおりとする。
 2  特別の事由によつて方面隊、師団及び旅団並びに方面総監部、師団司令部及び旅団司令部(以下この条において「方面隊等」という。)を増置し、若しくは廃止し、又は方面隊等の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で方面隊等を増置し、若しくは廃止し、又は方面隊等の名称及び所在地を変更することができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとらなければならない。
(部隊の長)
第十四条  方面隊、師団及び旅団以外の部隊の長は、長官の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。
第二節 海上自衛隊の部隊の組織及び編成
(編成)
第十五条 海上自衛隊の部隊は、自衛艦隊、地方隊、教育航空集団、練習艦隊その他の長官直轄部隊とする。
 2  自衛艦隊は、自衛艦隊司令部及び護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、掃海隊群その他の直轄部隊から成る。ただし、自衛艦隊司令部、護衛艦隊、航空集団及び潜水艦隊以外の部隊の一部を編成に加えないことができる。
 3 護衛艦隊は、護衛艦隊司令部及び護衛隊群その他の直轄部隊から成る。
 4 航空集団は、航空集団司令部及び航空群その他の直轄部隊から成る。
 5 潜水艦隊は、潜水艦隊司令部及び潜水隊群その他の直轄部隊から成る。
 6  地方隊は、地方総監部及び護衛隊、掃海隊、基地隊、航空隊その他の直轄部隊から成る。ただし、地方総監部以外の部隊の一部を編成に加えないことができる。
 7 教育航空集団は、教育航空集団司令部及び教育航空群その他の直轄部隊から成る。
 8 練習艦隊は、練習艦隊司令部及び練習隊その他の直轄部隊から成る。
(自衛艦隊司令官)
第十六条 自衛艦隊の長は、自衛艦隊司令官とする。
 2 自衛艦隊司令官は、長官の指揮監督を受け、自衛艦隊の隊務を統括する。
(護衛艦隊司令官)
第十六条の二 護衛艦隊の長は、護衛艦隊司令官とする。
 2 護衛艦隊司令官は、自衛艦隊司令官の指揮監督を受け、護衛艦隊の隊務を統括する。
(航空集団司令官)
第十六条の三 航空集団の長は、航空集団司令官とする。
 2 航空集団司令官は、自衛艦隊司令官の指揮監督を受け、航空集団の隊務を統括する。
(潜水艦隊司令官)
第十六条の四 潜水艦隊の長は、潜水艦隊司令官とする。
 2 潜水艦隊司令官は、自衛艦隊司令官の指揮監督を受け、潜水艦隊の隊務を統括する。
(地方総監)
第十七条  地方隊の長は、地方総監とする。
 2  地方総監は、長官の指揮監督を受け、地方隊の隊務(自衛艦隊その他の長官直轄部隊に対する補給その他長官の定める事項を含む。)を統括する。
(教育航空集団司令官)
第十七条の二 教育航空集団の長は、教育航空集団司令官とする。
 2 教育航空集団司令官は、長官の指揮監督を受け、教育航空集団の隊務を統括する。
(練習艦隊司令官)
第十七条の三 練習艦隊の長は、練習艦隊司令官とする。
 2 練習艦隊司令官は、長官の指揮監督を受け、練習艦隊の隊務を統括する。
(部隊の長)
第十八条 自衛艦隊、護衛艦隊、航空集団、潜水艦隊、地方隊、教育航空集団及び練習艦隊以外の部隊の長は、長官の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。
(地方隊の名称等)
第十九条 地方隊の名称並びに地方総監部の名称及び所在地は、別表第二のとおりとする。
 2  特別の事由によつて地方隊及び地方総監部を増置し、若しくは廃止し、又は地方隊及び地方総監部の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で地方隊及び地方総監部を増置し、若しくは廃止し、又は地方隊及び地方総監部の名称及び所在地を変更することができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとらなければならない。
第三節 航空自衛隊の部隊の組織及び編成
(編成)
第二十条  航空自衛隊の部隊は、航空総隊、航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団その他の長官直轄部隊とする。
 2 航空総隊は、航空総隊司令部及び航空方面隊、航空混成団その他の直轄部隊から成る。
 3 航空方面隊は、航空方面隊司令部及び航空団その他の直轄部隊から成る。
 4 航空混成団は、航空混成団司令部及び航空隊その他の直轄部隊から成る。
 5  航空支援集団は、航空支援集団司令部及び航空救難団、輸送航空隊、航空保安管制群、航空気象群その他の直轄部隊から成る。
 6 航空教育集団は、航空教育集団司令部及び航空団、飛行教育団その他の直轄部隊から成る。
 7 航空団は、航空団司令部及び飛行群その他の直轄部隊から成る。
 8 航空開発実験集団は、航空開発実験集団司令部及び飛行開発実験団その他の直轄部隊から成る。
(航空総隊司令官)
第二十条の二 航空総隊の長は、航空総隊司令官とする。
 2 航空総隊司令官は、長官の指揮監督を受け、航空総隊の隊務を統括する。
(航空支援集団司令官)
第二十条の三 航空支援集団の長は、航空支援集団司令官とする。
 2 航空支援集団司令官は、長官の指揮監督を受け、航空支援集団の隊務を統括する。
(航空教育集団司令官)
第二十条の四 航空教育集団の長は、航空教育集団司令官とする。
 2 航空教育集団司令官は、長官の指揮監督を受け、航空教育集団の隊務を統括する。
(航空開発実験集団司令官)
第二十条の五 航空開発実験集団の長は、航空開発実験集団司令官とする。
 2 航空開発実験集団司令官は、長官の指揮監督を受け、航空開発実験集団の隊務を統括する。
(航空方面隊司令官)
第二十条の六 航空方面隊の長は、航空方面隊司令官とする。
 2 航空方面隊司令官は、航空総隊司令官の指揮監督を受け、航空方面隊の隊務を統括する。
(航空混成団司令)
第二十条の七 航空混成団の長は、航空混成団司令とする。
 2 航空混成団司令は、航空総隊司令官の指揮監督を受け、航空混成団の隊務を統括する。
(航空団司令)
第二十条の八 航空団の長は、航空団司令とする。
 2  航空教育集団に属する航空団の航空団司令は航空教育集団司令官の、航空方面隊に属する航空団の航空団司令は航空方面隊司令官の指揮監督を受け、航空団の隊務を統括する。
(部隊の長)
第二十条の九  航空総隊、航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団、航空方面隊、航空混成団及び航空団以外の部隊の長は、長官の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。
(航空総隊等の名称等)
第二十一条  航空総隊、航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団、航空方面隊、航空混成団及び航空団(以下「航空総隊等」という。)の名称並びに航空総隊司令部、航空支援集団司令部、航空教育集団司令部、航空開発実験集団司令部、航空方面隊司令部、航空ャ成団司令部及び航空団司令部(以下「航空総隊司令部等」という。)の名称及び所在地は、別表第三のとおりとする。
 2 特別の事由によつて航空総隊等及び航空総隊司令部等を増置し、若しくは廃止し、又は航空総隊等の名称並びに航空総隊司令部等の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で航空総隊等及び航空総隊司令部等を増uし、若しくは廃止し、又は航空総隊等の名称並びに航空総隊司令部等の名称及び所在地を変更することができる。この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとらなければならない。
第四節 部隊編成の特例及び委任規定
(特別の部隊の編成)
第二十二条  内閣総理大臣は、第七十六条第一項、第七十八条第一項、第八十一条第二項又は第八十一条の二第一項の規定により自衛隊の出動を命じた場合には、特別の部隊を編成し、又は所要の部隊をその隸属する指揮官以外の指揮官の一部指揮下に置くことができる。
 2  長官は、第八十二条の規定による海上における警備行動、第八十三条第二項の規定による災害派遣、第八十三条の二の規定による地震防災派遣、第八十三条の三の規定による原子力災害派遣、訓練その他の事由により必要がある場合には、特別の部隊を臨時に編成し、又は所要の部隊をその隸属する指揮官以外の指揮官の一部指揮下に置くことができる。
 3 前二項の規定により編成された部隊が陸上自衛隊の部隊、海上自衛隊の部隊又は航空自衛隊の部隊のいずれか二以上から成る場合(当該部隊が前項の規定により編成されたものであるときは、防衛庁設置法第二十六条第一項第六号の規定によりその運用に係る長官の指?ス令に関することについて統合幕僚会議が長官を補佐する場合に限る。)における当該部隊の運用に係る長官の指揮は、統合幕僚会議の議長を通じて行うものとし、これに関する長官の命令は、統合幕僚会議の議長が執行する。
 4  第一項又は第二項の規定により編成され、又は同一指揮官の下に置かれる部隊が陸上自衛隊の部隊、海上自衛隊の部隊又は航空自衛隊の部隊のいずれか二以上から成る場合における当該部隊に対する長官の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、長官の定めるところによる。
(委任規定)
第二十三条 本章に定めるもののほか、自衛隊の部隊の組織、編成及び警備区域に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 機関
(機関)
第二十四条  防衛庁本庁に置かれる陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関の種類は、次のとおりとする。ただし、その一部を置かないことができる。
 一  学校
 二  補給処
 三  病院
 四  地方連絡部
 2  前項に規定するもののほか、陸上自衛隊の機関として研究本部及び補給統制本部を、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関として補給本部を置くことができる。
 3  前二項に規定するもののほか、自衛隊の業務遂行上特に必要がある場合には、政令で定めるところにより、臨時に陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の機関を置くことができる。
 4  第一項及び第三項の機関は、自衛隊の業務遂行上一体的運営を図る必要がある場合には、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の機関として置くことができる。
 5  前項の規定により共同の機関が置かれた場合における当該機関に対する長官の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、長官の定めるところによる。
(学校)
第二十五条  学校においては、隊員に対しその職務を遂行するに必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練(病院の所掌に係るものを除く。)を行うとともに、海上自衛隊若しくは航空自衛隊の学校又は前条第四項の規定に基づき置かれた学校においてはそれぞれ各ヵ泊烽フ運用等に関する調査研究を行う。
 2  前項に規定するもののほか、学校は、第百条の二の規定により長官が受託した外国人及び技術者の教育訓練で前項の知識及び技能と同種の知識及び技能を修得させるためのものを実施する。
 3 学校に、校長を置き、自衛官をもつて充てる。
 4 校長は、長官の定めるところにより、校務を掌理する。
 5  政令で定める航空自衛隊の学校の校長がその校務を掌理するに当たつては、航空教育集団司令官の指揮監督を受けるものとする。
(補給処)
第二十六条 補給処においては、自衛隊の需品、火器、弾薬、車両、船舶、航空機、施設器材、通信器材、衛生器材等の調達、保管、補給又は整備及びこれらに関する調査研究を行う。
 2 補給処に、処長を置き、自衛官をもつて充てる。
 3  処長は、長官の定めるところにより、処務を掌理する。ただし、長官は、必要があると認める場合には、方面総監に陸上自衛隊の補給処の処長を指揮監督させることができる。
 4  陸上自衛隊の補給処の処長がその処務を掌理するに当たつては、補給統制本部長の統制に従わなければならない。
 5  海上自衛隊又は航空自衛隊の補給処の処長がその処務を掌理するに当たつては、補給本部長の指揮監督を受けるものとする。
(病院)
第二十七条  病院においては、隊員その他政令で定める者の診療を行うとともに、診療に従事する隊員の当該専門技術に関する訓練又は看護に従事する隊員の養成及び医療その他の衛生に関する調査研究を行う。
 2 病院に、病院長を置き、自衛官又は技官をもつて充てる。
 3  病院長は、長官の定めるところにより、院務を掌理する。ただし、長官は、必要があると認める場合には、方面総監、地方総監又は航空総隊司令官に指揮監督させることができる。
(研究本部)
第二十七条の二 研究本部においては、陸上自衛隊における部隊の運用等に関する調査研究を行う。
 2 研究本部に、研究本部長を置き、自衛官をもつて充てる。
 3 研究本部長は、長官の定めるところにより、部務を掌理する。
(補給統制本部)
第二十七条の三  補給統制本部においては、陸上自衛隊における第二十六条第一項に規定する事務の実施の企画、総合調整及び統制業務並びに同項に規定する調達の事務のうち長官が定めるものを行う。
 2 補給統制本部に、補給統制本部長を置き、自衛官をもつて充てる。
 3 補給統制本部長は、長官の定めるところにより、部務を掌理する。
(補給本部)
第二十七条の四  補給本部においては、海上自衛隊又は航空自衛隊における第二十六条第一項に規定する事務の実施の企画及び総合調整並びに海上自衛隊又は航空自衛隊の補給処の管理を行うとともに、海上自衛隊の補給本部においては、同項に規定する調達の事務のうちキ官が定めるものを行う。
 2 補給本部に、補給本部長を置き、自衛官をもつて充てる。
 3 補給本部長は、長官の定めるところにより、部務を掌理する。ただし、長官は、必要があると認める場合には、自衛艦隊司令官又は航空総隊司令官に指揮監督させることができる。
(特別の事務)
第二十八条 長官は、必要があると認めるときは、校長、処長、病院長、研究本部長、補給統制本部長又は補給本部長に校務、処務、院務又は部務以外の事務を処理させることができる。この場合においては、長官は、これらの事務について方面総監、師団長、旅団長、自衛艦隊司令官、地方総監又は航空総隊司令官に校長、処長、病院長、研究本部長、補給統制本部長又は補給本部長を指揮監督させることができる。
(地方連絡部)
第二十九条 地方連絡部においては、自衛官の募集その他長官の定める事務を行う。
 2 地方連絡部に、地方連絡部長を置き、自衛官又は事務官をもつて充てる。
 3 地方連絡部長は、長官の定めるところにより、方面総監の指揮監督を受け、部務を掌理する。
(委任規定)
第三十条 本章に定めるもののほか、機関の名称、位置、所掌事務、補給処の支処その他の地方機関の設置その他機関に関し必要な事項は、政令で定める。
第五章 隊員
第一節 通則
(任命権者及び人事管理の基準)
第三十一条 隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職及び懲戒処分は、長官又はその委任を受けた者(防衛施設庁の職員である隊員(防衛施設庁長官及び自衛官を除く。)については、防衛施設庁長官又はその委任を受けた者)が行う。
 2 隊員の任免、分限、懲戒、服務その他人事管理に関する基準は、長官が定める。
(自衛官の階級)
第三十二条 陸上自衛隊の自衛官の階級は、陸将、陸将補、一等陸佐、二等陸佐、三等陸佐、一等陸尉、二等陸尉、三等陸尉、准陸尉、陸曹長、一等陸曹、二等陸曹、三等陸曹、陸士長、一等陸士、二等陸士及び三等陸士とする。
 2 海上自衛隊の自衛官の階級は、海将、海将補、一等海佐、二等海佐、三等海佐、一等海尉、二等海尉、三等海尉、准海尉、海曹長、一等海曹、二等海曹、三等海曹、海士長、一等海士、二等海士及び三等海士とする。
 3 航空自衛隊の自衛官の階級は、空将、空将補、一等空佐、二等空佐、三等空佐、一等空尉、二等空尉、三等空尉、准空尉、空曹長、一等空曹、二等空曹、三等空曹、空士長、一等空士、二等空士及び三等空士とする。
(服制)
第三十三条 自衛官、予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補、防衛大学校の学生(防衛庁設置法第十七条第二項の教育訓練を受けている者をいう。)、防衛医科大学校の学生(同法第十八条第二項の教育訓練を受けている者をいう。)その他その勤務の性質上制服を必要とする隊員の服制は、内閣府令で定める。
(非常勤の隊員の特例)
第三十四条  予備自衛官、即応予備自衛官及び予備自衛官補以外の非常勤の隊員に対する本章の規定の適用については、その職務と責任の特殊性に基づいて、政令で同章に定める制限を緩和し、又は排除することができる。
第二節 任免
(隊員の採用)
第三十五条 隊員の採用は、試験によるものとする。ただし、試験以外の能力の実証に基く選考によることを妨げない。
 2 前項の試験及び選考その他隊員の採用の方法及び手続に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
(陸士長等、海士長等及び空士長等の任用期間並びにその延長)
第三十六条 陸士長、一等陸士、二等陸士及び三等陸士(以下「陸士長等」という。)は二年を、海士長、一等海士、二等海士及び三等海士(以下「海士長等」という。)並びに空士長、一等空士、二等空士及び三等空士(以下「空士長等」という。)は三年を任用期間として任用されるものとする。ただし、長官の定める特殊の技術を必要とする職務を担当する陸士長等は、その志願に基き、三年を任用期間として任用されることができる。
 2  前項の規定は、陸士長等、海士長等又は空士長等で、志願に基き陸曹候補者、海曹候補者又は空曹候補者の指定を受けた者のうち長官の定めるものについては、適用しない。
 3  第一項の任用期間の起算日は、採用の日とする。ただし、三等陸曹、三等海曹又は三等空曹以上の階級から降任された場合にあつては降任の日、前項に規定する陸曹候補者、海曹候補者又は空曹候補者の指定を受けた者のうち長官の定めるものがその指定を取り消された場合にあつては当該指定を取り消された日とする。
 4  長官は、陸士長等、海士長等又は空士長等の任用期間が満了した場合において、当該陸士長等、海士長等又は空士長等が志願をしたときは、引き続き二年を任用期間としてこれを任用することができる。この場合における任用期間の起算日は、引き続いて任用された日とする。
 5  長官は、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等が任用期間が満了したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認める場合には、当該陸士長等、海士長等又は空士長等が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内、その他の場合にあつては六月以内の期間を限つて、任用期間を延長することができる。
(自衛官以外の隊員の任期を定めた採用)
第三十六条の二 第三十一条第一項の規定により隊員の任免について権限を有する者(以下「任命権者」という。)は、第三十五条の規定にかかわらず、高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者をその者が有する当該高度の専門的な知識経験又は優れた識見を一定の期間活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事させる場合には、長官の承認を得て、選考により、任期を定めて自衛官以外の隊員(法律により任期を定めて任用することとされている官職を占める隊員及び非常勤の隊員を除く。以下この条から第三十六条の四までにおいて同じ。)を採用することができる。
 2 任命権者は、前項の規定によるほか、専門的な知識経験を有する者を当該専門的な知識経験が必要とされる業務に従事させる場合において、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときであつて、当該者を当該業務に期間を限つて従事させることが公務の能率的運cを確保するために必要であるときは、長官の承認を得て、選考により、任期を定めて自衛官以外の隊員を採用することができる。
 一  当該専門的な知識経験を有する自衛官以外の隊員の育成に相当の期間を要するため、当該専門的な知識経験が必要とされる業務に従事させることが適任と認められる自衛官以外の隊員を部内で確保することが一定の期間困難である場合
 二 当該専門的な知識経験が急速に進歩する技術に係るものであることその他当該専門的な知識経験の性質上、当該専門的な知識経験が必要とされる業務に当該者が有する当該専門的な知識経験を有効に活用することができる期間が一定の期間に限られる場合
 三 前二号に掲げる場合に準ずる場合として政令で定める場合
第三十六条の三 前条各項の規定により採用される自衛官以外の隊員の任期は、五年を超えない範囲内で任命権者が定める。
 2  任命権者は、前項の規定により任期を定めて自衛官以外の隊員を採用する場合には、当該自衛官以外の隊員にその任期を明示しなければならない。
第三十六条の四  任命権者は、第三十六条の二各項の規定により任期を定めて採用された自衛官以外の隊員(次条において「任期付隊員」という。)の任期が五年に満たない場合にあつては、長官の承認を得て、採用した日から五年を超えない範囲内において、その任期をX新することができる。
 2 前条第二項の規定は、前項の規定により任期を更新する場合について準用する。
第三十六条の五  任命権者は、任期付隊員が採用時に占めていた官職においてその有する高度の専門的な知識経験又は優れた識見を活用して従事していた業務と同一の業務を行うことをその職務の主たる内容とする他の官職(自衛官をもつて充てることとされるものを除くB以下この条において同じ。)に任用する場合その他任期付隊員を任期を定めて採用した趣旨に反しない場合に限り、長官の承認を得て、任期付隊員を、その任期中、他の官職に任用することができる。
(研究員の任期を定めた採用)
第三十六条の六 任命権者は、第三十五条の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、選考により、任期を定めて自衛官以外の隊員(防衛庁本庁の機関又は部隊等の長その他の政令で定める官職を占める隊員及び非常勤の隊員を除く。第四項において同じ。)を採用することができる。
 一  研究業績等により当該研究分野において特に優れた研究者と認められている者を招へいして、当該研究分野に係る高度の専門的な知識経験を必要とする研究業務(技術研究本部その他の防衛庁本庁の機関又は部隊等において行う試験研究に関する業務をいう。以下こフ条及び次条において同じ。)に従事させる場合
 二 独立して研究する能力があり、研究者として高い資質を有すると認められる者(この号の規定又は一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成九年法律第六十五号)第三条第一項第二号の規定によりかつて任期を定めて採用されたことがある者を除く。)を、当該研究分野における先導的役割を担う有為な研究者となるために必要な能力のかん養に資する研究業務に従事させる場合
 2 任命権者は、前項第一号の規定により任期を定めた採用を行う場合には、長官の承認を得なければならない。
 3  任命権者は、第一項第二号の規定により任期を定めた採用を行う場合には、長官の定めるところにより定めた採用計画に基づいてしなければならない。この場合において、当該採用計画には、その対象となる研究業務及び選考の手続を定めるものとする。
 4  第三十六条の二から前条までの規定は、自衛官以外の隊員であつて研究業務に従事するものについては、適用しない。
第三十六条の七  前条第一項第一号に規定する場合における任期は、五年を超えない範囲内で任命権者が定める。ただし、特に五年を超える任期を定める必要があると認める場合には、長官の承認を得て、七年(特別の計画に基づき期間を定めて実施される研究業務に従事ウせる場合にあつては、十年)を超えない範囲内で任期を定めることができる。
 2  前条第一項第二号に規定する場合における任期は、三年(研究業務の性質上特に必要がある場合で、長官の承認を得たときは、五年)を超えない範囲内で任命権者が定める。
 3  任命権者は、前二項の規定により任期を定めて隊員を採用する場合には、当該隊員にその任期を明示しなければならない。
第三十六条の八  任命権者は、第三十六条の六第一項第一号の規定により任期を定めて採用された隊員の任期が五年に満たない場合にあつては採用した日から五年、同項第二号の規定により任期を定めて採用された隊員の任期が三年に満たない場合(前条第二項の長官の承Fを得て任期が定められた場合を除く。)にあつては採用した日から三年、当該隊員のうち同項の長官の承認を得て任期が定められた隊員の任期が五年に満たない場合にあつては採用した日から五年を超えない範囲内において、その任期を更新することができる。
 2 前条第三項の規定は、前項の規定により任期を更新する場合について準用する。
(隊員の昇任)
第三十七条 隊員の昇任は、勤務実績若しくは功労に基く選考又は試験によるものとする。
 2 前項の選考及び試験その他隊員の昇任の方法及び手続に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
(欠格条項)
第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、隊員となることができない。
 一  成年被後見人又は被保佐人
 二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
 三 法令の規定による懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
 四  日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
 2 隊員は、前項各号の一に該当するに至つたときは、内閣府令で定める場合を除き、当然失職する。
(人事に関する不正行為の禁止)
第三十九条 何人も、隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職、懲戒処分その他の人事に関する行為を不正に実現し、又は不正にその実現を妨げる目的をもつて、金銭その他の利益を授受し、提供し、若しくはその授受を要求し、若しくは約束し、脅迫、強制その他これに類する方法を用い、又は公の地位を利用し、若しくはその利用を提供し、要求し、若しくは約束し、あるいはこれらの行為に関与してはならない。
(退職の承認)
第四十条  第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いトは、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
(条件附採用)
第四十一条  隊員の採用は、すべて条件附のものとし、その隊員がその職において六月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなる。
 2  条件附採用に関し必要な事項及び条件附採用期間であつて六月をこえる期間を要するものについては、内閣府令で定める。
第三節 分限、懲戒及び保障
(身分保障)
第四十二条 隊員は、懲戒処分による場合及び次の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、降任され、又は免職されることがない。
 一  勤務成績がよくない場合
 二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
 三 前二号に規定する場合のほか、その職務に必要な適格性を欠く場合
 四 組織、編成若しくは定員の改廃又は予算の減少により、廃職又は過員を生じた場合
第四十三条 隊員は、次の各号の一に該当する場合又は政令で定める場合を除き、その意に反して休職にされることがない。
 一 心身の故障のため長期の休養を要する場合
 二  刑事事件に関し起訴された場合
(休職の効果)
第四十四条  休職の期間は、政令で定める。ただし、前条第二号の規定による休職の期間は、その事件が裁判所に係属する間とする。
 2 休職者は、隊員としての身分を保有するが、職務に従事しない。
 3 休職者には、法令で別段の定をする場合を除き、給与を支給しない。
 4  第三十一条第一項の規定により隊員の復職について権限を有する者は、休職者について休職の事由が消滅したときは、政令で定める場合を除き、直ちにその者を復職させなければならない。
(自衛官以外の隊員の定年及び定年による退職の特例)
第四十四条の二  隊員(自衛官を除く。以下この条、次条及び第四十四条の五において同じ。)は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は長官があらかじめ指定する日のいずれか早い日(次条及び第四十四条の四において「定年退職日vという。)に退職する。
 2 前項の定年は、年齢六十年とする。ただし、次の各号に掲げる隊員の定年は、当該各号に定める年齢とする。
 一 病院等で政令で定めるものに勤務する医師及び歯科医師 年齢六十五年
 二 庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する隊員で政令で定めるもの 年齢六十三年
 三  前二号に掲げる隊員のほか、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる職を占める隊員で政令で定めるもの 六十年を超え、六十五年を超えない範囲内で政令で定める年齢
 3 前二項の規定は、次の各号の一に該当する隊員には適用しない。
 一  臨時的に任用された隊員
 二  法律により任期を定めて任用された隊員
 三  非常勤の隊員
第四十四条の三 任命権者は、定年に達した隊員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、当該隊員の職務の特殊性又は当該隊員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職が自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、当該隊員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、当該隊員をその職務に従事させるため引き続いて隊員として勤務させることができる。
 2  任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、長官の定めるところにより、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、当該隊員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。
(自衛官以外の隊員への定年退職者等の再任用)
第四十四条の四  任命権者は、次に掲げる者(次条において「定年退職者等」という。)を、従前の勤務実績等に基づく選考により、一年を超えない範囲内で任期を定め、常時勤務を要する官職に採用することができる。ただし、その者がその者を採用しようとする官職にWる定年に達していないときは、この限りでない。
 一 第四十四条の二第一項の規定により退職した者
 二  前条の規定により勤務した後退職した者
 三 定年退職日以前に退職した者のうち勤続期間等を考慮し前二号に準ずるものとして政令で定める者
 四 第四十五条第一項の規定により退職した者
 五 第四十五条第三項の規定により勤務した後退職した者
 六  第四十五条第一項に規定する定年に達した日の翌日以前に退職した者のうち勤続期間等を考慮し前二号に準ずるものとして政令で定める者
 七  国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の規定により退職した者であつて第一号、第二号 又は第三号に準ずるものとして政令で定める者
 2  前項の任期又はこの項の規定により更新された任期は、政令で定めるところにより、一年を超えない範囲内で更新することができる。
 3  前二項の規定による任期については、その末日は、その者が年齢六十五年に達する日以後における最初の三月三十一日以前でなければならない。
第四十四条の五  任命権者は、定年退職者等を、従前の勤務実績等に基づく選考により、一年を超えない範囲内で任期を定め、短時間勤務の官職(当該官職を占める隊員の一週間当たりの通常の勤務時間が、常時勤務を要する官職でその職務が当該短時間勤務の官職と同種フものを占める隊員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間であるものをいう。第三項において同じ。)に採用することができる。
 2 前項の規定により採用された隊員の任期については、前条第二項及び第三項の規定を準用する。
 3  短時間勤務の官職については、定年退職者等のうち第四十四条の二第一項及び第二項の規定の適用があるものとした場合の当該官職に係る定年に達した者に限り任用することができるものとする。
(自衛官の定年及び定年による退職の特例)
第四十五条 自衛官(陸士長等、海士長等及び空士長等を除く。以下この条及び次条において同じ。)は、定年に達したときは、定年に達した日の翌日に退職する。
 2 前項の定年は、勤務の性質に応じ、階級ごとに政令で定める。
 3  長官は、自衛官が定年に達したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定により防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、当該自衛官が定年に達した後も引き続いて自衛官として勤務させることができる。
(自衛官への定年退職者等の再任用)
第四十五条の二  任命権者は、前条第一項の規定により退職した者又は同条第三項の規定により勤務した後退職した者を、従前の勤務実績等に基づく選考により、一年を超えない範囲内で任期を定め、教育、研究、補給その他長官の定める業務を行うことを職務とする常時ホ務を要する官職に引き続いて採用することができる。
 2  前項の任期又はこの項の規定により更新された任期は、政令で定めるところにより、一年を超えない範囲内で更新することができる。
 3 前二項の規定による任期については、その末日は、その者が年齢六十五年に達する日以前でなければならない。
 4  長官は、第一項の規定により採用された自衛官がその任期が満了したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、任期を延長することができる。
(懲戒処分)
第四十六条  隊員が次の各号のいずれかに該当する場合には、これに対し懲戒処分として、免職、降任、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
 一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
 二 隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合
 三  その他この法律若しくは自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合
 2  隊員が、任命権者の要請に応じ一般職に属する国家公務員、特別職に属する国家公務員(隊員を除く。)、地方公務員又は公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)第一条に規定する公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち政令で定めるものに使用される者(以下この項において「一般職国家公務員等」という。)となるため退職し、引き続き一般職国家公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として隊員として採用された場合(一の一般職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の一般職国家公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として隊員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く隊員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、一般職国家公務員等としての在職及び隊員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く隊員としての在職期間を含む。以下この項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。隊員が、第四十四条の四第一項、第四十四条の五第一項又は第四十五条の二第一項の規定により採用された場合において、第四十四条の四第一項第一号から第六号までに掲げる者となつた日までの引き続く隊員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又は第四十四条の四第一項、第四十四条の五第一項若しくは第四十五条の二第一項の規定によりかつて採用されて隊員として在職していた期間中に前項各号のいずれかに該当したときも、同様とする。
(懲戒の効果)
第四十七条 懲戒処分としての降任は、階級又は職務の級の一級又は二級だけ下位の階級又は職務の級にくだすものとする。
 2 停職の期間は、一年以内とする。停職者は、隊員としての身分を保有するが、特に命ぜられた場合を除いては、職務に従事することを停止される。
 3 停職者には、法令で別段の定をする場合を除き、給与を支給しない。
 4 減給は、一年以内の期間、俸給の五分の一以下を減ずるものとする。
(学生の分限及び懲戒の特例)
第四十八条 防衛大学校又は防衛医科大学校の長(以下この条において「学校長」という。)は、防衛庁設置法第十七条第二項の教育訓練又は同法第十八条第二項 の教育訓練を受けている者(以下この条、第五十条、第五十条の二、第五十八条第二項、第九十六条第一項及び第九十八条の二第一項において「学生」という。)が成績不良又は心身の故障のため修学の見込みがないと認める場合には、その意に反して退校を命ずることができる。
 2 学校長は、学生が次の各号の一に該当する場合には、その意に反して休学を命ずることができる。
 一 心身の故障のため長期の休養を要する場合
 二  刑事事件に関し起訴された場合
 3  学校長は、学生が次の各号の一に該当する場合には、これに対し懲戒処分として、退校、停学又は戒告の処分をすることができる。
 一 学生としての義務に違反し、又は学業を怠つた場合
 二 学生たるにふさわしくない行為があつた場合
 三 その他この法律又はこの法律に基く命令に違反した場合
 4 学生が第一項又は前項の規定により退校にされた場合には、当然退職するものとする。
 5 前項に定めるもののほか、学生の分限及び懲戒の効果に関し必要な事項は、政令で定める。
(審査請求の特例)
第四十八条の二 隊員は、防衛施設庁長官により、その意に反して、降任され、休職にされ、若しくは免職され、又は懲戒処分を受けた場合においては、防衛庁長官に対して審査請求することができる。
 2  防衛施設庁長官の委任を受けた者により隊員がその意に反して降任され、休職にされ、若しくは免職され、又は懲戒処分を受けた場合における審査請求は、防衛庁長官に対して行なうものとする。
(不服申立ての処理)
第四十九条  隊員に対するその意に反する降任、休職若しくは免職又は懲戒処分についての審査請求又は異議申立てについては、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第二章第一節から第三節 までの規定を適用しない。
 2  前項に規定する審査請求又は異議申立ては、処分の通知を受けた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならず、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。
 3 長官は、第一項に規定する審査請求又は異議申立てを受けた場合には、これを審議会等(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第五十四条に規定する機関をいう。以下同じ。)で政令で定めるものに付議しなければならない。
 4  第一項に規定する審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定は、前項の政令で定める審議会等の議決に基づいてしなければならない。
 5  長官は、第一項に規定する処分の全部又は一部を取り消し、又は変更する場合において、必要があると認めるときは、隊員がその処分によつて受けた不当な結果を是正するため、その処分によつて失われた給与の弁済その他の措置をとらなければならない。
 6 審査請求又は異議申立ての手続は、政令で定める。
 7 第一項に規定する処分を除くほか、隊員に対する処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。隊員がした申請に対する不作為についても、同様とする。
(適用除外)
第五十条 第四十二条から第四十四条まで及び行政不服審査法の規定は、条件附採用期間中の隊員、臨時的に任用された隊員及び学生については、適用しない。
(不服申立てと訴訟との関係)
第五十条の二 第四十九条第一項に規定する処分(前条に規定する隊員又は学生に係るものを除く。)の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定を経た後でなければ、提起することができない。
(委任規定)
第五十一条 本節に定めるもののほか、隊員の分限及び懲戒に関し必要な事項は、政令で定める。
第四節 服務
(服務の本旨)
第五十二条  隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完汲ノ努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。
(服務の宣誓)
第五十三条 隊員は、内閣府令で定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。
(勤務態勢及び勤務時間等)
第五十四条 隊員は、何時でも職務に従事することのできる態勢になければならない。
 2 隊員の勤務時間及び休暇は、勤務の性質に応じ、内閣府令で定める。
(指定場所に居住する義務)
第五十五条 自衛官は、内閣府令で定めるところに従い、長官が指定する場所に居住しなければならない。
(職務遂行の義務)
第五十六条  隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。
(上官の命令に服従する義務)
第五十七条 隊員は、その職務の遂行に当つては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
(品位を保つ義務)
第五十八条  隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない。
 2 自衛官及び学生は、長官の定めるところに従い、制服を着用し、服装を常に端正に保たなければならない。
(秘密を守る義務)
第五十九条 隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様とする。
 2  隊員が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合には、長官の許可を受けなければならない。その職を離れた後も、同様とする。
 3 前項の許可は、法令に別段の定がある場合を除き、拒むことができない。
(職務に専念する義務)
第六十条  隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。
 2 隊員は、法令に別段の定めがある場合を除き、防衛庁以外の国家機関の職若しくは独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項 に規定する特定独立行政法人(次項及び第六十三条において「特定独立行政法人」という。)の職を兼ね、又は地方公共団体の機関の職に就くことができない。
 3  隊員は、自己の職務以外の防衛庁の職務を行い、又は防衛庁以外の国家機関の職若しくは特定独立行政法人の職を兼ね、若しくは地方公共団体の機関の職に就く場合においても、内閣府令で定める場合を除き、給与を受けることができない。
(政治的行為の制限)
第六十一条 隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。
 2 隊員は、公選による公職の候補者となることができない。
 3  隊員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。
(私企業からの隔離)
第六十二条  隊員は、営利を目的とする会社その他の団体の役員若しくは顧問の地位その他これらに相当する地位につき、又は自ら営利企業を営んではならない。
 2 隊員(第三十六条第一項の規定の適用を受ける自衛官及びこれに準ずる者として内閣府令で定めるものを除く。)は、離職後二年間は、営利を目的とする会社その他の団体の地位で、その離職前五年間に在職していた防衛庁本庁又は防衛施設庁と密接な関係にあるものノ就くことを承諾し又は就いてはならない。
 3  前二項の規定は、隊員が、内閣府令で定める基準に従い行う長官又はその委任を受けた者の承認を受けた場合には、適用しない。
 4  長官は、前項に規定する承認のうち、第二項の地位に就くことに係る承認を行い、又は行わないこととする場合には、政令で定める審議会等に付議し、その議決に基づいて行わなければならない。
 5 内閣は、毎年、遅滞なく、国会に対し、前年において長官が行つた第三項の承認の処分(第一項の規定に係るものを除く。)に関し、各承認の処分ごとに、承認に係る者が離職前五年間に在職していた防衛庁本庁又は防衛施設庁における官職、承認に係る営利を目的とキる会社その他の団体の地位、承認をした理由その他必要な事項を報告しなければならない。
(他の職又は事業の関与制限)
第六十三条  隊員は、報酬を受けて、第六十条第二項に規定する国家機関、特定独立行政法人及び地方公共団体の機関の職並びに前条第一項の地位以外の職又は地位に就き、あるいは営利企業以外の事業を行う場合には、内閣府令で定める基準に従い行う長官の承認を受けネければならない。
(団体の結成等の禁止)
第六十四条  隊員は、勤務条件等に関し使用者たる国の利益を代表する者と交渉するための組合その他の団体を結成し、又はこれに加入してはならない。
 2 隊員は、同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。
 3 何人も、前項の行為を企て、又はその遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動してはならない。
 4  前三項の規定に違反する行為をした隊員は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任用上の権利をもつて対抗することができない。
(防衛医科大学校卒業生の勤続に関する義務)
第六十四条の二 防衛医科大学校卒業生(防衛庁設置法第十八条第三項に規定する防衛医科大学校卒業生をいう。第九十八条の二において同じ。)は、当該教育訓練を修了した後九年の期間を経過するまでは、隊員として勤続するように努めなければならない。
(委任規定)
第六十五条  本節又は自衛隊員倫理法に定めるもののほか、隊員の服務に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
第五節 予備自衛官等
第一款 予備自衛官
(予備自衛官)
第六十六条  予備自衛官は、第七十条第一項各号に規定する招集命令により招集された場合において同条第三項の規定により自衛官となつて勤務し、第七十一条第一項に規定する訓練招集命令により招集された場合において訓練に従事するものとする。
 2 予備自衛官の員数は、四万七千九百人とし、防衛庁の職員の定員外とする。
(採用等)
第六十七条  予備自衛官の採用は、第三十五条の規定にかかわらず、自衛官であつた者又は次項の規定により予備自衛官に任用されたことがある者の志願に基づき、内閣府令で定めるところにより、選考によつて行うものとする。
 2  前項の規定によるもののほか、第七十五条の九第一項に規定する教育訓練のすべてを修了した者は、修了の日の翌日に予備自衛官に任用されるものとする。
 3  長官又はその委任を受けた者は、前二項の規定により任用された予備自衛官に対し、内閣府令で定めるところにより、相当の自衛官の階級を指定するものとする。
(任用期間及びその延長)
第六十八条  前条第一項又は第二項の規定により予備自衛官に任用された者の任用期間は、任用の日から起算して三年とする。
 2 長官は、予備自衛官(第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている者を含む。)がその任用期間が満了した場合において、志願をしたときは、引き続き三年を任用期間として、これを予備自衛官に任用することができ驕Bこの場合における任用期間の起算日は、引き続いて任用された日とする。
 3  長官は、予備自衛官が第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている場合において、当該自衛官が予備自衛官としての任用期間が満了したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、その者の任用期間を延長することができる。
 4  予備自衛官が第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつていた期間は、予備自衛官の任用期間に含めて計算するものとする。
(昇進)
第六十九条  長官又はその委任を受けた者は、勤務実績又は能力の実証に基く選考により、予備自衛官を、その現に指定されている自衛官の階級より上位の階級を指定して、昇進させることができる。
 2 前項の選考その他予備自衛官の昇進の方法及び手続に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
(予備自衛官の呼称及び制服の着用)
第六十九条の二 予備自衛官は、その指定に係る自衛官の階級名に予備の文字を冠した呼称を用いることができる。
 2  予備自衛官は、第七十一条に規定する訓練招集命令を受けて訓練に従事する場合においては、長官の定めるところに従い、制服を着用しなければならない。
 3  前項に規定するもののほか、予備自衛官は、次の場合には、長官の定めるところにより、制服を着用することができる。
 一 自衛隊の行なう儀式その他公の儀式に参加する場合
 二 自衛隊の行なう行事その他長官の定める行事に参加する場合
(防衛招集及び災害招集)
第七十条  長官は、次の各号に掲げる場合には、内閣総理大臣の承認を得て、予備自衛官に対し、当該各号に定める招集命令書による招集命令を発することができる。
 一 第七十六条第一項の規定による防衛出動命令が発せられた場合又は事態が緊迫し、同項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、必要があると認めるとき 防衛招集命令書による防衛招集命令
 二 第八十三条第二項の規定により部隊等を救援のため派遣する場合において、特に必要があると認めるとき 災害招集命令書による災害招集命令
 2  前項各号の招集命令を受けた予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、招集に応じなければならない。
 3  第一項各号の招集命令により招集された予備自衛官は、辞令を発せられることなく、招集に応じて出頭した日をもつて、現に指定されている階級の自衛官となるものとする。この場合において、当該自衛官の員数は、防衛庁の職員の定員外とする。
 4  前項本文の場合においては、当該自衛官の任用期間は、第三十六条の規定にかかわらず、その者の予備自衛官としての任用期間によるものとし、当該自衛官については、第四十五条第一項の定年に関する規定は、適用しない。
 5 第一項各号の規定による招集命令を受けた予備自衛官が心身の故障その他真にやむを得ない事由により指定の日時に、指定の場所に出頭することができない旨を申し出た場合又は招集に応じて出頭した予備自衛官についてこれらの事由があると認める場合においては、キ官は、政令で定めるところにより、招集命令を取り消し、又は招集を猶予し、若しくは解除することができる。
 6  長官は、第一項各号の規定による招集命令を受け、第三項の規定により自衛官となつた者について、招集の必要がなくなつた場合には、速やかに、招集を解除しなければならない。
 7  前二項の規定により招集を解除された自衛官は、次項の規定による招集命令を受けた場合又は第九項に該当する場合を除き、辞令を発せられることなく、招集の解除の日の翌日をもつて予備自衛官となり、招集の解除の日の当該自衛官の階級を指定されたものとする。
 8  長官は、第六項の規定により招集を解除する場合において、新たに第一項各号に掲げる場合に該当するときは、内閣総理大臣の承認を得て、当該自衛官に対し、当該各号に定める招集命令書による招集命令を発することができる。この場合において、当該招集命令を受けた自衛官は、同項各号の規定による招集命令を受け、第三項の規定により自衛官となつたものとする。
 9  第六十八条第三項の規定により任用期間が延長されていた自衛官が招集を解除された場合においては、招集の解除の日をもつて予備自衛官の任用期間が満了したものとする。
(訓練招集)
第七十一条 長官は、所要の訓練を行うため、各回ごとに招集期間を定めて、予備自衛官に対し、訓練招集命令書によつて、訓練招集命令を発することができる。
 2  前項の訓練招集命令を受けた予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、訓練招集に応じなければならない。
 3 第一項の招集期間は、一年を通じて二十日をこえないものとする。
 4 第一項の規定による訓練招集命令を受けた予備自衛官が心身の故障その他正当な事由により指定の日時に、指定の場所に出頭することができない旨を申し出た場合又は訓練招集に応じて出頭した予備自衛官についてこれらの事由があると認める場合においては、長官はA政令で定めるところにより、訓練招集命令を取り消し、又は変更することができる。
 5  第一項の訓練招集命令により招集された予備自衛官は、その招集されている期間中、内閣府令で定めるところに従い、長官が指定する場所に居住して、訓練に従事するものとする。
(委任規定)
第七十二条  前二条に規定するもののほか、第七十条第一項各号に規定する防衛招集命令書及び災害招集命令書並びに前条第一項に規定する訓練招集命令書に記載すべき事項、予備自衛官に対する防衛招集命令及び災害招集命令並びに訓練招集命令の手続その他予備自衛官フ防衛招集及び災害招集並びに訓練招集に関し必要な事項は、政令で定める。
(不利益取扱の禁止)
第七十三条 何人も、被用者を求め、又は求職者の採否を決定する場合においては、予備自衛官である者に対し、その予備自衛官であることを理由として不利益な取扱をしてはならない。
 2 すべて使用者は、被用者が予備自衛官であること又は予備自衛官になろうとしたことを理由として、その者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をしてはならない。
(住所変更の届出)
第七十四条  予備自衛官は、住所を変更したとき、心身の故障のため長期の休養を要するに至つたとき、又は心身障害の状態となつたときは、政令で定めるところにより、長官に対し、すみやかに、その旨を届け出なければならない。
 2  予備自衛官は、防衛招集若しくは災害招集又は訓練招集に支障を来すことのないように、常にその所在を同居の親族その他政令で定める者に明らかにしておかなければならない。
 3  予備自衛官が死亡したとき、又は所在不明となつたときは、前項の同居の親族その他政令で定める者は、政令で定めるところにより、長官に対し、すみやかに、その旨を届け出なければならない。
(適用除外)
第七十五条  第四十一条、第三節、第五十四条第一項、第六十条第二項及び第三項並びに第六十一条から第六十三条までの規定は、予備自衛官については、適用しない。ただし、第六十一条第一項の規定は、第七十一条第一項の規定による訓練招集命令により招集されてい髣\備自衛官については、適用があるものとする。
 2  第四十一条、第六十条第二項及び第三項、第六十一条第二項及び第三項並びに第六十二条及び第六十三条の規定は、第七十条第三項の規定により自衛官となつている者については、適用しない。
第二款 即応予備自衛官
(即応予備自衛官)
第七十五条の二  即応予備自衛官は、第七十五条の四第一項各号に規定する招集命令により招集された場合において同条第三項の規定により自衛官となつてあらかじめ指定された陸上自衛隊の部隊において勤務し、第七十五条の五第一項に規定する訓練招集命令により招集ウれた場合において訓練に従事するものとする。
 2 即応予備自衛官の員数は、五千七百二十三人とし、防衛庁の職員の定員外とする。
(部隊の指定)
第七十五条の三  長官又はその委任を受けた者は、即応予備自衛官に対し、次条第一項各号に規定する招集命令により招集された場合において同条第三項の規定により自衛官となつて勤務する陸上自衛隊の部隊を指定するものとする。
(防衛招集、治安招集及び災害等招集)
第七十五条の四  長官は、次の各号に掲げる場合において、必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、即応予備自衛官に対し、当該各号に定める招集命令書による招集命令を発することができる。
 一 第七十六条第一項の規定による防衛出動命令が発せられた場合又は事態が緊迫し、同項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合 防衛招集命令書による防衛招集命令
 二  第七十八条第一項若しくは第八十一条第二項の規定による治安出動命令が発せられた場合又は事態が緊迫し、第七十八条第一項の規定による治安出動命令が発せられることが予測される場合 治安招集命令書による治安招集命令
 三  第八十三条第二項の規定により部隊等を救援のため派遣する場合又は第八十三条の二若しくは第八十三条の三の規定により部隊等を支援のため派遣する場合 災害等招集命令書による災害等招集命令
 2  前項各号の招集命令を受けた即応予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、招集に応じなければならない。
 3  第一項各号の招集命令により招集された即応予備自衛官は、辞令を発せられることなく、招集に応じて出頭した日をもつて、現に指定されている階級の自衛官となつて現に指定されている陸上自衛隊の部隊において勤務するものとする。この場合において、当該自衛官の員数は、防衛庁の職員の定員外とする。
 4  長官は、第一項各号の規定による招集命令を受け、前項の規定により自衛官となつた者について、招集の必要がなくなつた場合には、速やかに、招集を解除しなければならない。
 5  前項の規定又は第七項において準用する第七十条第五項の規定により招集を解除された自衛官は、次項の規定による招集命令を受けた場合又は第七項において準用する同条第九項に該当する場合を除き、辞令を発せられることなく、招集の解除の日の翌日をもつて即応予備自衛官となり、招集の解除の日の当該自衛官の階級を指定されたものとする。
 6  長官は、第四項の規定により招集を解除する場合において、新たに第一項各号に掲げる場合に該当し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、当該自衛官に対し、当該各号に定める招集命令書による招集命令を発することができる。この場合において、当該招集命令を受けた自衛官は、同項各号の規定による招集命令を受け、第三項の規定により自衛官となつたものとする。
 7  第七十条第四項、第五項及び第九項の規定は、第一項各号の規定による招集命令を受けた即応予備自衛官について準用する。この場合において、同条第四項中「前項本文」とあるのは「第七十五条の四第三項前段」と、同条第五項中「第一項各号」とあるのは「第七十五条の四第一項各号」と、同条第九項中「第六十八条第三項」とあるのは「第七十五条の八において準用する第六十八条第三項」と読み替えるものとする。
(訓練招集)
第七十五条の五 長官は、所要の訓練を行うため、各回ごとに招集期間を定めて、即応予備自衛官に対し、訓練招集命令書によつて、訓練招集命令を発することができる。
 2  前項の訓練招集命令を受けた即応予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、訓練招集に応じなければならない。
 3 第一項の招集期間は、一年を通じて、三十日を超えない範囲内で内閣府令で定める期間とする。
 4  第七十一条第四項及び第五項の規定は、第一項の規定による訓練招集命令を受けた即応予備自衛官について準用する。この場合において、これらの規定中「第一項」とあるのは、「第七十五条の五第一項」と読み替えるものとする。
(委任規定)
第七十五条の六  前二条に規定するもののほか、第七十五条の四第一項各号に規定する防衛招集命令書、治安招集命令書及び災害等招集命令書並びに前条第一項に規定する訓練招集命令書に記載すべき事項、即応予備自衛官に対する防衛招集命令、治安招集命令及び災害等オ集命令並びに訓練招集命令の手続その他即応予備自衛官の防衛招集、治安招集及び災害等招集並びに訓練招集に関し必要な事項は、政令で定める。
(勤続報奨金)
第七十五条の七  長官又はその委任を受けた者は、即応予備自衛官(第七十五条の四第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている者を含む。)がその任用期間のうち内閣府令で定める期間以上在職し、かつ、良好な成績で勤務したニきは、内閣府令で定めるところにより、その者に対し、勤続報奨金を支給することができる。
(準用)
第七十五条の八  第六十七条第一項及び第三項、第六十八条から第六十九条の二まで並びに第七十三条から第七十五条までの規定は、即応予備自衛官について準用する。この場合において、第六十七条第三項中「前二項の規定により任用された」とあるのは「採用された」ニ、第六十八条第一項中「前条第一項又は第二項の規定により予備自衛官に任用された」とあるのは「即応予備自衛官に採用された」と、「任用の」とあるのは「採用の」と、同条第二項、第三項及び第四項中「第七十条第一項各号」とあるのは「第七十五条の四第一項各号」と、同条謫?\中「予備自衛官に」とあるのは「即応予備自衛官に」と、第六十九条の二第一項中「予備の」とあるのは「即応予備の」と、同条第二項中「第七十一条」とあるのは「第七十五条の五」と、第七十四条第二項中「防衛招集若しくは災害招集」とあるのは「防衛招集、治安招集若しュは災害等招集」と、第七十五条第一項ただし書中「第七十一条第一項」とあるのは「第七十五条の五第一項」と、同条第二項中「第七十条第三項」とあるのは「第七十五条の四第三項」と読み替えるものとする。
第三款 予備自衛官補
(予備自衛官補)
第七十五条の九  予備自衛官補は、第七十五条の十一第一項に規定する教育訓練招集命令により招集された場合において、予備自衛官として必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を受けるものとする。
 2 予備自衛官補の員数は、防衛庁の職員の定員外とする。
(教育訓練の修了期限等)
第七十五条の十  予備自衛官補は、採用の日から起算して三年を超えない範囲内で長官の定める期限までに、前条第一項に規定する教育訓練のすべてを修了するものとする。ただし、長官又はその委任を受けた者は、当該期限後一年以内に修了する見込みがあると認める予?ゥ衛官補について、一年を超えない範囲内で当該期限を延長することができる。
 2  予備自衛官補に採用された者の任用期間は、採用の日から前項の長官の定める期限の末日(同項ただし書の規定により当該期限が延長された場合にあつては、当該延長された期限の末日)又は前条第一項に規定する教育訓練のすべてを修了した日のいずれか早い日までとする。
(教育訓練招集)
第七十五条の十一 長官は、所要の教育訓練を行うため、各回ごとに招集期間を定めて、予備自衛官補に対し、教育訓練招集命令書によつて、教育訓練招集命令を発することができる。
 2  前項の教育訓練招集命令を受けた予備自衛官補は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、教育訓練招集に応じなければならない。
 3 第一項の招集期間は、一年を通じて五十日を超えないものとする。
 4  第七十一条第四項及び第五項の規定は、第一項の規定による教育訓練招集命令を受けた予備自衛官補について準用する。この場合において、同条第四項中「第一項」とあるのは「第七十五条の十一第一項」と、「訓練招集命令」とあるのは「教育訓練招集命令」と、「訓練招集に」とあるのは「教育訓練招集に」と、同条第五項中「第一項の訓練招集命令」とあるのは「第七十五条の十一第一項の教育訓練招集命令」と、「訓練に従事する」とあるのは「教育訓練を受ける」と読み替えるものとする。
(委任規定)
第七十五条の十二 前条に規定するもののほか、同条第一項に規定する教育訓練招集命令書に記載すべき事項、予備自衛官補に対する教育訓練招集命令の手続その他予備自衛官補の教育訓練招集に関し必要な事項は、政令で定める。
(準用)
第七十五条の十三  第六十九条の二第二項及び第三項、第七十三条、第七十四条並びに第七十五条第一項の規定は、予備自衛官補について準用する。この場合において、第六十九条の二第二項中「第七十一条」とあるのは「第七十五条の十一」と、「訓練招集命令」とあるフは「教育訓練招集命令」と、「訓練に従事する」とあるのは「教育訓練を受ける」と、第七十四条第二項中「防衛招集若しくは災害招集又は訓練招集」とあるのは「教育訓練招集」と、第七十五条第一項ただし書中「第七十一条第一項」とあるのは「第七十五条の十一第一項」と、「P練招集命令」とあるのは「教育訓練招集命令」と読み替えるものとする。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(MSA協定)

(昭和二十九年五月一日条約第六号)

 日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、
 国際連合憲章の体制内において、同憲章の目的及び原則を信奉する諸国がその目的及び原則を支持して個別的及び集団的自衛のための効果ある方策を推進する能力を高めるべき自発的措置によつて、国際の平和及び安全保障を育成することを希望し、
 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約に述べられている日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有するとの確信を再確認し、
 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の前文において、日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従つて平和及び安全保障を増進すること以外に用いられるべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを、アメリカ合衆国が期待して、平和及び安全保障のために暫定措置として若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持するとある趣旨を想起し、
 日本国のための防衛援助計画の策定に当つては経済の安定が日本国の防衛能力の発展のために欠くことができない要素であり、また、日本国の寄与がその経済の一般的な条件及び能力の許す範囲においてのみ行うことができることを承認し、
 アメリカ合衆国政府が、前記の目的とするところを達成するためアメリカ合衆国による防衛援助の供与を規定する改正後の千九百四十九年の相互防衛援助法及び改正後の千九百五十一年の相互安全保障法を制定したことによりこれらの原則を支持したことを考慮し、
 その援助の供与を規律する条件を定めることを希望して、
 次のとおり協定した。 

    第一条
1 各政府は、経済の安定が国際の平和及び安全保障に欠くことができないという原則と矛盾しない限り、他方の政府に対し、及びこの協定の両署名政府が各場合に合意するその他の政府に対し、援助を供与する政府が承認することがある装備、資材、役務その他の援助を、両署名政府の間で行うべき細目取極に従つて、使用に供するものとする。いずれか一方の政府が承認することがあるいかなる援助の供与及び使用も、国際連合憲章と矛盾するものであつてはならない。アメリカ合衆国政府がこの協定に従つて使用に供する援助は、千九百四十九年の相互防衛援助法、千九百五十一年の相互安全保障法、この二法律を修正し又は補足する法律及びこれらの法律に基く歳出予算法の当該援助に関する規定並びに当該援助の条件及び終了に関する規定に従つて供与するものとする。
2 各政府は、この協定に従つて受ける援助を両政府が満足するような方法で平和及び安全保障を促進するため効果的に使用するものとし、いずれの一方の政府も、他方の政府の事前の同意を得ないでその援助を他の目的のため転用してはならない。
3 各政府は、相互間で合意する条件及び手続に従い、他方の政府に対し、この協定に基いて供与される装備又は資材(有償で供与される装備及び資材を除く。)で使用に供される当初の用途のために必要でなくなつたものの返還を申し出るものとする。
4 各政府は、共通の安全保障のため、この協定に従つて受ける装備、資材又は役務の所有権又は占有権を、これらの援助を供与する政府の事前の同意を得ないで、自国政府の職員若しくは委託を受けた者以外の者又は他の政府に移転しないことを約束する。

    第二条
 日本国政府は、相互援助の原則に従い、アメリカ合衆国が自国の資源において不足し、又は不足する虞がある結果必要とする原材料又は半加工品で日本国内で入手することができるものを、合意される期間、数量及び条件に従つて、生産し、及びアメリカ合衆国政府に譲渡することを容易にすることに同意する。その譲渡に関する取極に当つては、日本国政府が決定する国内使用及び商業輸出の必要量について十分な考慮を払わなければならない。

    第三条
1 各政府は、この協定に従つて他方の政府が供与する秘密の物件、役務又は情報についてその秘密の漏せつ又はその危険を防止するため、両政府の間で合意する秘密保持の措置を執るものとする。
2 各政府は、この協定に基く活動について公衆に周知させるため、秘密保持と矛盾しない適当な措置を執るものとする。

    第四条
 両政府は、いずれか一方の政府の要請があつたときは、防衛のための工業所有権及び技術上の知識の交換の方法及び条件を規定する適当な取極であつて、その交換を促進するとともに、私人の利益を保護し及び秘密の保持を図るものを作成するものとする。

    第五条
 両政府は、アメリカ合衆国政府が実施する援助計画に割り当てられ、又は同計画から生ずるすべての資金について、差押その他の法律上の執行の手続を執ることが援助計画の目的の達成を妨げる虞がある旨をアメリカ合衆国政府から日本国政府に通告したときは、日本国政府が、いずれの人、法人その他の団体、その機関又は政府もその手続を行うことができないように、その資金を積み立て、他の資金から分離し、又はその資金に対する権原を確保するための手続を設ける目的で協議するものとする。

    第六条
1 日本国政府は、次のものを許与するものとする。
 a この協定又はアメリカ合衆国政府と他の被援助国との間の同種の協定に基いて日本国の領域に輸入され、又はそこから輸出される資材、需品又は装備に対してその輸入又は輸出の際に課せられる関税及び内国税の免除(別段の合意がある場合を除く。)
 b 附属書Eに掲げる日本の租税が、この協定又はアメリカ合衆国政府と他の被援助国との間の同種の協定に基く資材、需品、装備及び役務の調達のための日本国におけるアメリカ合衆国政府の支出金又は同政府が融資する支出金に影響するときは、その租税の免除又はその払いもどし
2 関税の免除並びに附属書Eに掲げる日本の租税の免除及び払いもどしは、相互防衛のための資材、需品、装備及び役務に対するアメリカ合衆国政府の支出金又は同政府が融資する支出金で、1に定めるもの以外のものについても行われるものとする。これらの支出金は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に適合して支出されるもの及び改正後の千九百五十一年の相互安全保障法又はその後同法を補足し、修正し、若しくはこれに代るべき法律に基くアメリカ合衆国政府の対外援助計画に適合して支出されるものを含む。

    第七条
1 日本国政府は、アメリカ合衆国政府の職員で、この協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し、且つ、この協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられるものを接受することに同意する。その職員(臨時に任用される職員を含む。)でアメリカ合衆国の国民であるものは、日本国政府に対する関係においては、アメリカ合衆国大使館の一部とみなされて大使館の長の指揮及び監督の下に行動するものとし、アメリカ合衆国大使館に属する相当級の他の職員と同一の特権及び免除を与えられる。
2 日本国政府は、この協定の実施に関連するアメリカ合衆国政府の行政事務費及びこれに関連がある経費として、アメリカ合衆国政府に随時円資金を提供するものとする。

    第八条
 日本国政府は、国際の理解及び善意の増進並びに世界平和の維持に協同すること、国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置を執ること並びに自国政府が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いて負つている軍事的義務を履行することの決意を再確認するとともに、自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲でその人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限り自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、自国の防衛能力の増強に必要となることがあるすべての合理的な措置を執り、且つ、アメリカ合衆国政府が提供するすべての援助の効果的な利用を確保するための適当な措置を執るものとする。

    第九条
1 この協定のいかなる規定も、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約又は同条約に基いて締結された取極をなんら改変するものと解してはならない。
2 この協定は、各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定に従つて実施するものとする。

    第十条
1 両政府は、いずれか一方の政府の要請があつたときは、この協定の適用又はこの協定に従つて行われる活動若しくは措置に関するいかなる事項についても協議するものとする。
2 この協定の条項は、いつでも、いずれか一方の政府の要請があつたときは再検討することができ、また、両政府間の合意により改正することができる。

    第十一条
1 この協定は、アメリカ合衆国政府が日本国政府から、日本国がこの協定を批准した旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる。
2 この協定は、いずれか一方の政府が他方の政府からこの協定を終了させる意思の書面による通告を受領した日の後一年を経過するまで、引き続き効力を有する。但し、第一条2、3及び4の規定並びに第三条1及び第四条に基いて締結される取極は、両政府が別段の合意をしない限り、なお引き続き効力を有する。
3 この協定の附属書は、この協定の不可分の一部とする。
4 この協定は、国際連合事務局に登録するものとする。


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