第六章 自衛隊の行動
(防衛出動)
第七十六条 内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認。以下本項及び次項において同じ。)を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。
 2 前項ただし書の規定により国会の承認を得ないで出動を命じた場合には、内閣総理大臣は、直ちに、これにつき国会の承認を求めなければならない。
 3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、又は出動の必要がなくなつたときは、直ちに、自衛隊の撤収を命じなければならない。
(防衛出動待機命令)
第七十七条 長官は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。
(命令による治安出動)
第七十八条 内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。
 2 内閣総理大臣は、前項の規定による出動を命じた場合には、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、すみやかにAその承認を求めなければならない。
 3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、又は出動の必要がなくなつたときは、すみやかに、自衛隊の撤収を命じなければならない。
(治安出動待機命令)
第七十九条 長官は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による治安出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。
 2 前項の場合においては、長官は、国家公安委員会と緊密な連絡を保つものとする。
(治安出動下令前に行う情報収集)
第七十九条の二 長官は、事態が緊迫し第七十八条第一項の規定による治安出動命令が発せられること及び小銃、機関銃(機関けん銃を含む。)、砲、化学兵器、生物兵器その他その殺傷力がこれらに類する武器を所持した者による不法行為が行われることが予測される場合において、当該事態の状況の把握に資する情報の収集を行うため特別の必要があると認めるときは、国家公安委員会と協議の上、内閣総理大臣の承認を得て、武器を携行する自衛隊の部隊に当該者が所在すると見込まれる場所及びその近傍において当該情報の収集を行うことを命ずることができる。
(海上保安庁の統制)
第八十条 内閣総理大臣は、第七十六条第一項又は第七十八条第一項の規定による自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。
 2 内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、長官にこれを指揮させるものとする。
 3 内閣総理大臣は、第一項の規定による統制につき、その必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに、これを解除しなければならない。
(要請による治安出動)
第八十一条  都道府県知事は、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県の都道府県公安委員会と協議の上、内閣総理大臣に対し、部隊等の出動を要請することができる。
 2 内閣総理大臣は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等の出動を命ずることができる。
 3 都道府県知事は、事態が収まり、部隊等の出動の必要がなくなつたと認める場合には、内閣総理大臣に対し、すみやかに、部隊等の撤収を要請しなければならない。
 4 内閣総理大臣は、前項の要請があつた場合又は部隊等の出動の必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに、部隊等の撤収を命じなければならない。
 5 都道府県知事は、第一項に規定する要請をした場合には、事態が収つた後、すみやかに、その旨を当該都道府県の議会に報告しなければならない。
 6 第一項及び第三項に規定する要請の手続は、政令で定める。
(自衛隊の施設等の警護出動)
第八十一条の二 内閣総理大臣は、本邦内にある次に掲げる施設又は施設及び区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為が行われるおそれがあり、かつ、その被害を防止するため特別の必要があると認める場合には、当該施設又は施設及び区域の警護のため部隊等の出動を命ずることができる。
 一  自衛隊の施設
 二 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条第一項の施設及び区域(同協定第二十五条の合同委員会において自衛隊の部隊等が警護を行うこととされたものに限る。)
 2 内閣総理大臣は、前項の規定により部隊等の出動を命ずる場合には、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴くとともに、長官と国家公安委員会との間で協議をさせた上で、警護を行うべき施設又は施設及び区域並びに期間を指定しなければならない。
 3 内閣総理大臣は、前項の期間内であつても、部隊等の出動の必要がなくなつたと認める場合には、速やかに、部隊等の撤収を命じなければならない。
(海上における警備行動)
第八十二条 長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。
(災害派遣)
第八十三条 都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。
 2 長官又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。ただし、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項のv請を待たないで、部隊等を派遣することができる。
 3  庁舎、営舎その他の防衛庁の施設又はこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合においては、部隊等の長は、部隊等を派遣することができる。
 4  第一項の要請の手続は、政令で定める。
(地震防災派遣)
第八十三条の二 長官は、大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年法律第七十三号)第十一条第一項に規定する地震災害警戒本部長から同法第十三条第二項の規定による要請があつた場合には、部隊等を支援のため派遣することができる。
(原子力災害派遣)
第八十三条の三 長官は、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第十七条第一項に規定する原子力災害対策本部長から同法第二十条第四項の規定による要請があつた場合には、部隊等を支援のため派遣することができる。
(領空侵犯に対する措置)
第八十四条 長官は、外国の航空機が国際法規又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。
(長官と国家公安委員会との相互の連絡)
第八十五条 内閣総理大臣は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定による出動命令を発するに際しては、長官と国家公安委員会との相互の間に緊密な連絡を保たせるものとする。
(関係機関との連絡及び協力)
第八十六条  第七十六条第一項、第七十八条第一項、第八十一条第二項、第八十一条の二第一項、第八十三条第二項、第八十三条の二及び第八十三条の三の規定により部隊等が行動する場合には、当該部隊等及び当該部隊等に関係のある都道府県知事、市町村長、警察消防@関その他の国又は地方公共団体の機関は、相互に緊密に連絡し、及び協力するものとする。
第七章 自衛隊の権限
(武器の保有)
第八十七条 自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。
(防衛出動時の武力行使)
第八十八条 第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。
 2  前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。
(治安出動時の権限)
第八十九条  警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)の規定は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項 の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同法第四条第二項中「公安委員会」とあるのは、「長官の指定する者」と読み替えるものとする。
 2 前項において準用する警察官職務執行法第七条の規定により自衛官が武器を使用するには、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条又は第三十七条に該当する場合を除き、当該部隊指揮官の命令によらなければならない。
第九十条 第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官は、前条の規定により武器を使用する場合のほか、次の各号の一に該当すると認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。
 一 職務上警護する人、施設又は物件が暴行又は侵害を受け、又は受けようとする明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを排除する適当な手段がない場合
 二 多衆集合して暴行若しくは脅迫をし、又は暴行若しくは脅迫をしようとする明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合
 三 前号に掲げる場合のほか、小銃、機関銃(機関けん銃を含む。)、砲、化学兵器、生物兵器その他その殺傷力がこれらに類する武器を所持し、又は所持していると疑うに足りる相当の理由のある者が暴行又は脅迫をし又はする高い蓋然性があり、武器を使用するほか、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合
 2 前条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
第九十一条  海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)第十六条、第十七条第一項 及び第十八条の規定は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官の職務の執行について準用する。
 2  海上保安庁法第二十条第二項の規定は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた海上自衛隊の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同法第二十条第二項中「前項において準用する警察官職務執行法第七条」とあるのは「第八十九条第一項において準用する警察官職務執行法第七条及び前条第一項」と、「第十七条第一項」とあるのは「前項において準用する海上保安庁法第十七条第一項」と、「海上保安官又は海上保安官補の職務」とあるのは「第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官の職務」と、「海上保安庁長官」とあるのは「防衛庁長官」と読み替えるものとする。
 3 第八十九条第二項の規定は、前項において準用する海上保安庁法第二十条第二項の規定により海上自衛隊の自衛官が武器を使用する場合について準用する。
(警護出動時の権限)
第九十一条の二  警察官職務執行法第二条、第四条 並びに第六条第一項 、第三項及び第四項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、第八十一条の二第一項の規定により出動を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、警察官E務執行法第四条第二項中「公安委員会」とあるのは、「長官の指定する者」と読み替えるものとする。
 2  警察官職務執行法第五条 及び第七条の規定は、第八十一条の二第一項の規定により出動を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。
 3 前項において準用する警察官職務執行法第七条の規定により武器を使用する場合のほか、第八十一条の二第一項の規定により出動を命ぜられた部隊等の自衛官は、職務上警護する施設が大規模な破壊に至るおそれのある侵害を受ける明白な危険があり、武器を使用するルか、他にこれを排除する適当な手段がないと認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。
 4 第一項及び第二項において準用する警察官職務執行法の規定による権限並びに前項の権限は、第八十一条の二第二項の規定により指定された施設又は施設及び区域の警護のためやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、当該施設又は施設及び区域の外狽ノおいても行使することができる。
 5 第八十九条第二項の規定は、第二項において準用する警察官職務執行法第七条又は第三項の規定により自衛官が武器を使用する場合について準用する。
(防衛出動時の公共の秩序の維持のための権限)
第九十二条 第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、第八十八条の規定により武力を行使するほか、必要に応じ、公共の秩序を維持するため行動することができる。
 2  警察官職務執行法 及び第九十条第一項の規定は、第七十六条第一項 の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官が前項の規定により公共の秩序の維持のため行う職務の執行について、海上保安庁法第十六条、第十七条第一項 及び第十八条の規定は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官が前項の規定により公共の秩序の維持のため行う職務の執行について、同法第二十条第二項の規定は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた海上自衛隊の自衛官が前項の規定により公共の秩序の維持のため行う職務の執行について準用する。この場合において、警察官職務執行法第四条第二項中「公安委員会」とあるのは、「長官の指定する者」と、海上保安庁法第二十条第二項中「前項において準用する警察官職務執行法第七条」とあるのは「この項において準用する警察官職務執行法第七条 及びこの法律第九十条第一項」と、「第十七条第一項」とあるのは「この項において準用する海上保安庁法第十七条第一項」と、「海上保安官又は海上保安官補の職務」とあるのは「第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官が公共の秩序の維持のため行う職務」と、「海上保安庁長官」とあるのは「防衛庁長官」と読み替えるものとする。
 3 第八十九条第二項の規定は、前項において準用する警察官職務執行法第七条又はこの法律第九十条第一項の規定により自衛官が武器を使用する場合及び前項において準用する海上保安庁法第二十条第二項の規定により海上自衛隊の自衛官が武器を使用する場合について\用する。
(治安出動下令前に行う情報収集の際の武器の使用)
第九十二条の二 第七十九条の二の規定による情報収集の職務に従事する自衛官は、当該職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する隊員の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
(海上における警備行動時の権限)
第九十三条  警察官職務執行法第七条の規定は、第八十二条の規定により行動を命ぜられた自衛隊の自衛官の職務の執行について準用する。
 2  海上保安庁法第十六条 、第十七条第一項及び第十八条 の規定は、第八十二条の規定により行動を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官の職務の執行について準用する。
 3  海上保安庁法第二十条第二項の規定は、第八十二条の規定により行動を命ぜられた海上自衛隊の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同法第二十条第二項中「前項」とあるのは「第一項」と、「第十七条第一項」とあるのは「前項において準用する海上保安庁法第十七条第一項」と、「海上保安官又は海上保安官補の職務」とあるのは「第八十二条の規定により行動を命ぜられた自衛隊の自衛官の職務」と、「海上保安庁長官」とあるのは「防衛庁長官」と読み替えるものとする。
 4 第八十九条第二項の規定は、第一項において準用する警察官職務執行法第七条の規定により自衛官が武器を使用する場合及び前項において準用する海上保安庁法第二十条第二項の規定により海上自衛隊の自衛官が武器を使用する場合について準用する。
(災害派遣時等の権限)
第九十四条  警察官職務執行法第四条並びに第六条第一項 、第三項 及び第四項の規定は、警察官がその場にいない場合に限り、第八十三条第二項、第八十三条の二 又は第八十三条の三 の規定により派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同法第四条第二項中「公安委員会」とあるのは、「長官の指定する者」と読み替えるものとする。
 2  海上保安庁法第十六条の規定は、第八十三条第二項 、第八十三条の二又は第八十三条の三の規定により派遣を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官の職務の執行について準用する。
第九十四条の二 第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)及びこれに基づく命令の定めるところにより、同法第五章第四節に規定する応急措置をとることができる。
 2 原子力災害対策特別措置法第十五条第二項の規定による原子力緊急事態宣言があつた時から同条第四項の規定による原子力緊急事態解除宣言があるまでの間における前項の規定の適用については、同項中「災害対策基本法」とあるのは、「原子力災害対策特別措置法第?\八条第二項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法」とする。
第九十四条の三 第八十三条の三の規定により派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、原子力災害対策特別措置法第二十八条第二項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法及びこれに基づく命令の定めるところにより、同法第五章第四節に規定する応急措置をとることができる。
(武器等の防護のための武器の使用)
第九十五条  自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料を職務上警護するに当たり、人又は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を防護するため必要であるとFめる相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
(自衛隊の施設の警護のための武器の使用)
第九十五条の二  自衛官は、本邦内にある自衛隊の施設であつて、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を保管し、収容し若しくは整備するための施設設備、営舎又は港湾若しくは飛行場に係る施設設備が所在す驍烽フを職務上警護するに当たり、当該職務を遂行するため又は自己若しくは他人を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、当該施設内において、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十オ条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
(部内の秩序維持に専従する者の権限)
第九十六条  自衛官のうち、部内の秩序維持の職務に専従する者は、政令で定めるところにより、次の各号に掲げる犯罪については、政令で定めるものを除き、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察職員として職務を行う。
 一  自衛官並びに陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部及び部隊等に所属する自衛官以外の隊員並びに学生、訓練招集に応じている予備自衛官及び即応予備自衛官並びに教育訓練招集に応じている予備自衛官補(以下本条中「隊員」という。)の犯した犯罪又は職アに従事中の隊員に対する犯罪その他隊員の職務に関し隊員以外の者の犯した犯罪
 二 自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における犯罪
 三 自衛隊の所有し、又は使用する施設又は物に対する犯罪
 2  前項の規定により司法警察職員として職務を行う自衛官のうち、三等陸曹、三等海曹又は三等空曹以上の者は司法警察員とし、その他の者は司法巡査とする。
 3  警察官職務執行法第七条の規定は、第一項の自衛官の職務の執行について準用する。
第八章 雑則
(都道府県等が処理する事務)
第九十七条 都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。
 2 長官は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。
 3 第一項の規定により都道府県知事及び市町村長の行う事務並びに前項の規定により都道府県警察の行う協力に要する経費は、国庫の負担とする。
(学資金の貸与)
第九十八条  長官は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する大学(大学院を含む。)に在学する学生で、政令で定める学術を専攻し、修学後その専攻した学術を応用して自衛隊に勤務しようとする者に対し、選考により学資金を貸与することができる。
 2  前項の貸与金の額は、政令で定める。
 3  第一項の貸与金には、利息を附さない。
 4  長官は、学資金の貸与を受けた者が次の各号の一に該当する場合には、政令で定めるところにより、その貸与金の全部又は一部の返還を免除することができる。
 一 修学後政令で定める年数以上継続して隊員であつたとき。
 二 修学後隊員であつた者が公務に因る災害のため心身に故障を生じ、第四十二条第二号の規定に該当して免職されたとき、又は同条第四号の規定に該当して免職されたとき。
 三 死亡又は心身障害により貸与金の返還ができなくなつたとき。
 5  前四項に定めるもののほか、学資金の貸与及び返還に関し必要な事項は、政令で定める。
(償還金)
第九十八条の二  防衛医科大学校卒業生は、当該教育訓練の修了の時以後はじめて離職したときは、当該教育訓練を修了した後九年以上の期間隊員として勤続していた場合を除き、当該教育訓練に要した職員給与費、研究費その他の経常的経費の学生一人当たりの額をこえネい範囲内において、当該教育訓練の修了後の隊員としての勤続期間を考慮して政令で定める金額を国に償還しなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
 一  死亡により離職したとき。
 二 公務による災害のため心身に故障を生じ、第四十二条第二号の規定に該当して免職されたとき、又は同条第四号の規定に該当して免職されたとき。
 2 前項の規定による償還義務は、本人の死亡により消滅する。
 3 長官は、心身障害により第一項の規定による償還ができなくなつた者に対しては、政令で定めるところにより、その償還すべき金額の全部又は一部の償還を免除することができる。
 4 前三項に定めるもののほか、第一項の規定による償還に関し必要な事項は、政令で定める。
(機雷等の除去)
第九十九条  海上自衛隊は、長官の命を受け、海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする。
(土木工事等の受託)
第百条 長官は、自衛隊の訓練の目的に適合する場合には、国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工事その他政令で定める事業の施行の委託を受け、及びこれを実施することができる。
 2 前項の事業の受託に関し必要な事項は、政令で定める。
(教育訓練の受託)
第百条の二  長官は、防衛庁本庁の内部部局若しくは防衛大学校、防衛医科大学校その他の文教研修施設、技術研究本部若しくは契約本部において隊員以外の者について教育訓練を実施することの委託を受けた場合(内部部局にあつては、防衛庁設置法第十条第六号に掲げ骼末アに係る教育訓練を実施することの委託を受けた場合に限る。)において相当と認めるとき、防衛庁設置法第二十八条の三に規定する機関若しくは自衛隊の学校において外国人について教育訓練を実施することの委託を受けた場合において相当と認めるとき、又は政令で定める技術メの教育訓練を実施することの委託を受けた場合において他に教育訓練の施設がないと認めるときは、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、当該委託を受け、及びこれを実施することができる。この場合における当該隊員以外の者の処遇については、教育訓練に必要な限度ノおいて、隊員に準じて政令で定める。
 2 長官は、前項の場合においては、政令で定めるところにより、授業料を徴収することができる。
 3  長官は、第一項の規定により教育訓練を受ける外国人に対し、その委託者が開発途上にある海外の地域の政府である場合において、特に必要があると認めるときは、同項後段の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該教育訓練の履修を支援するための給付金を支給することができる。
 4 隊員以外の者に対する教育訓練の委託の手続は、政令で定める。
(運動競技会に対する協力)
第百条の三  長官は、関係機関から依頼があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、国際的若しくは全国的規模又はこれらに準ずる規模で開催される政令で定める運動競技会の運営につき、政令で定めるところにより、役務の提供その他必要な協ヘを行なうことができる。
(南極地域観測に対する協力)
第百条の四  自衛隊は、長官の命を受け、国が行なう南極地域における科学的調査について、政令で定める輸送その他の協力を行う。
(国賓等の輸送)
第百条の五  長官は、国の機関から依頼があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者(次項において「国賓等」という。)の輸送を行うことができる。
 2 自衛隊は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができる。
(国際緊急援助活動等)
第百条の六 長官は、国際緊急援助隊の派遣に関する法律(昭和六十二年法律第九十三号)の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、隊員又は部隊等に同法第三条第二項各号に掲げる活動を行わせることができる。
(国際平和協力業務の実施等)
第百条の七 長官は、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、部隊等に国際平和協力業務を行わせ、及び輸送の委託を受けてこれを実施することができる。
(在外邦人等の輸送)
第百条の八 長官は、外務大臣から外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があつた場合において、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、当該邦人の輸送を行うことができる。この場合において、長官は、外務大臣から当該緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する外国人として同乗させることを依頼された者を同乗させることができる。
 2  前項の輸送は、第百条の五第二項の規定により保有する航空機により行うものとする。ただし、当該輸送に際して使用する空港施設の状況、当該輸送の対象となる邦人の数その他の事情によりこれによることが困難であると認められるときは、次に掲げる航空機又は船舶により行うことができる。
 一 輸送の用に主として供するための航空機(第百条の五第二項の規定により保有するものを除く。)
 二  前項の輸送に適する船舶
 三  前号に掲げる船舶に搭載された回転翼航空機で第一号に掲げる航空機以外のもの(当該船舶と陸地との間の輸送に用いる場合におけるものに限る。)
 3  第一項に規定する外国において同項の輸送の職務に従事する自衛官は、当該輸送に用いる航空機若しくは船舶の所在する場所又はその保護の下に入つた当該輸送の対象である邦人若しくは外国人を当該航空機若しくは船舶まで誘導する経路においてその職務を行うに際し、自己若しくは自己と共に当該輸送の職務に従事する隊員又は当該邦人若しくは外国人の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
(日米物品役務相互提供協定に基づくアメリカ合衆国の軍隊に対する物品又は役務の提供)
第百条の九  内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(次項において「日米物品役務相互提供協定」という。)の定めるとアろにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、アメリカ合衆国の軍隊に対し、物品を提供することができる。
 2  長官は、日米物品役務相互提供協定の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、アメリカ合衆国の軍隊に対し、役務を提供することができる。
 3 前項の規定による役務の提供に関し必要な事項は、政令で定める。
(後方地域支援等)
第百条の十  内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号)又は周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号)の定めるところによ閨A自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、後方地域支援としての物品の提供(前条第一項の適用があるものを除く。)を実施することができる。
 2 長官は、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律又は周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、防衛庁本庁の機関及び部隊等に後方地域支援としトの役務の提供(前条第二項の適用があるものを除く。)を、部隊等に後方地域捜索救助活動又は船舶検査活動を行わせることができる。
(海上保安庁等との関係)
第百一条  自衛隊と海上保安庁、地方航空局、航空交通管制部、気象官署、国土地理院、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)第一条第三項に規定する会社、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下アの条において「海上保安庁等」という。)は、相互に常に緊密な連絡を保たなければならない。
 2 長官は、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認める場合には、海上保安庁等に対し協力を求めることができる。この場合においては、海上保安庁等は、特別の事情のない限り、これに応じなければならない。
(自衛艦旗等)
第百二条  自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶は、長官の定めるところにより、国旗及び第四条第一項の規定により交付された自衛艦旗その他の旗を掲げなければならない。
 2  自衛隊の使用する航空機は、自衛隊の航空機であることを明らかに識別することができるような標識を付さなければならない。
 3  自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶又は自衛隊の使用する航空機以外の船舶又は航空機は、第一項に規定する旗若しくは前項に規定する標識又はこれらにまぎらわしい旗若しくは標識を掲げ、又は付してはならない。
 4 自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶の掲げる第四条第一項の規定により交付された自衛艦旗以外の旗及び自衛隊の使用する航空機の付する標識の制式は、長官が定め、官報で告示する。
(防衛出動時における物資の収用等)
第百三条  第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられ、当該自衛隊の行動に係る地域において自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合には、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、病院、診療所その他政令で定める施設(以下本条中u施設」という。)を管理し、土地、家屋若しくは物資(以下本条中「土地等」という。)を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。ただし、事態に照らし緊急を要キると認めるときは、長官又は政令で定める者は、都道府県知事に通知した上で、自らこれらの権限を行うことができる。
 2  第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられた場合においては、当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域においても、都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基き、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、前項の規定の例により、施設の管理、土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管命令を発し、また、当該地域内にある医療、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。
 3  災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)第二十三条の二第二項及び第三項 並びに第二十三条の三 の規定は、前二項の規定により施設を管理し、土地等を使用し、物資の保管を命じ、又は物資を収用する場合について、同法第二十三条の二第二項、第二十四条第五項 及び第二十九条の規定は、前項の規定により医療、土木建築工事又は輸送に従事する者を長官又は政令で定める者の指定した業務に従事させる場合について準用する。
 4 第二項に規定する医療、土木建築工事又は輸送に従事する者の範囲は、政令で定める。
 5 前四項に定めるもののほか、第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられた場合における施設の管理、土地等の使用、物資の保管命令、物資の収用又は業務従事命令について必要な手続は、政令で定める。
 6 第一項又は第二項の規定による処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
(電気通信設備の利用等)
第百四条  長官は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の任務遂行上必要があると認める場合には、緊急を要する通信を確保するため、総務大臣に対し、電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者がその事ニの用に供する電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)第三条第四項第三号に掲げる者が設置する電気通信設備を使用することに関し必要な措置をとることを求めることができる。
 2 総務大臣は、前項の要求があつたときは、その要求に沿うように適当な措置をとるものとする。
(訓練のための漁船の操業の制限又は禁止)
第百五条  内閣総理大臣は、自衛隊の行う訓練及び試験研究のため水面を使用する必要があるときは、農林水産大臣及び関係都道府県知事の意見を聞き、一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。
 2  国は、前項の規定による制限又は禁止により、当該区域において従来適法に漁業を営んでいた者が漁業経営上こうむつた損失を補償する。
 3 前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。
 4 前二項の規定による損失の補償を受けようとする者は、その者の住所地を管轄する都道府県知事を経由して、損失補償申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
 5  都道府県知事は、前項の申請書を受理したときは、その意見を記載した書面を当該申請書に添えて、これを内閣総理大臣に送付しなければならない。
 6  内閣総理大臣は、前項の書類を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを都道府県知事を経由して当該申請者に通知しなければならない。
 7  前項の規定による決定に不服がある者は、同項の通知を受けた日の翌日から起算して三十日以内に、内閣総理大臣に対して異議を申し出ることができる。
 8 内閣総理大臣は、前項の規定による申出があつたときは、その申出のあつた日から三十日以内に、改めて補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、これを申出人に通知しなければならない。
 9  前項の規定により決定された補償金の額に不服がある者は、その決定を知つた日から三月以内に訴えをもつてその増額を請求することができる。
 10 前項の訴においては、国を被告とする。
 11 第六項の規定による決定に不服がある者は、第七項及び第九項の規定によることによつてのみ争うことができる。
 12 前各項に定めるもののほか、第二項の規定による損失の補償の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
(火薬類取締法 の適用除外)
第百六条  火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)の規定は、同法第五十七条の三の規定にかかわらず、第二条 から第四条まで、第七条 、第九条第一項 及び第二項、第十条 から第十三条 まで、第十四条第一項、第十五条 、第二十条第二項 、第二十七条の二、第二十八条 、第三十条第一項、第三十一条第一項 、第三項 及び第四項、第三十二条 、第三十三条第一項 及び第三項、第三十五条 、第三十九条第一項、第四十六条第二項 並びに第五十条の規定を除き、自衛隊の行う火薬類の製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱については、適用しない。
 2 自衛隊の行う火薬類の製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱についての火薬類取締法(前項の規定により適用を除外される規定を除く。)の適用については、政令で特例を定めることができる。
 3 長官は、第一項の規定にかかわらず、自衛隊が取り扱う火薬類について、火薬類取締法及びこれに基く命令の規定に準拠して製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱に関する技術上の基準を定め、その他火薬類に因る災害を防止し、公共の安全を確保するため必要な措置?uじなければならない。
(航空法 等の適用除外)
第百七条  航空法 中第十一条、第二十八条第一項 及び第二項、第三十四条第二項 、第三十八条第一項、第五十七条 から第五十九条 まで、第六十五条、第六十六条 、第八十六条 、第八十九条、第九十条 並びに第百三十四条第一項及び第二項 の規定は、自衛隊の使用する航空機及びその航空機に乗り組んで運航に従事する者並びに自衛隊が設置する飛行場及び航空保安施設については、適用しない。
 2  航空法第四十九条 から第五十一条までの規定は、自衛隊が設置する飛行場について準用する。この場合において、同法第四十九条第一項中「第四十条(第四十三条第二項において準用する場合を含む。)の告示」とあるのは「防衛庁長官の告示」と、同法第五十条中u当該飛行場の設置又は第四十三条第一項の施設の変更」とあるのは「当該飛行場の設置又は変更」と読み替えるものとする。
 3 自衛隊の使用する航空機及びその航空機に乗り組んで運航に従事する者についての航空法第六章(第一項の規定により適用を除外される規定を除く。)の規定の適用については、政令で特例を定めることができる。
 4  航空法第六十条 から第六十四条まで、第七十六条 、第七十六条の二、第七十九条 から第八十一条まで、第八十二条第二項 、第八十二条の二、第八十四条第二項 、第八十八条 、第九十一条、第九十二条(第一項第三号に係る部分に限る。)及び第九十九条の二第一項の規定は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた場合において、同法第七十九条から第八十一条までの規定は、第七十八条第一項若しくは第八十一条第二項フ規定により出動を命ぜられた場合又は第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた場合において、それぞれ政令で定めるところにより、自衛隊の航空機及び航空機に乗り組んで運航に従事する者並びに自衛隊の行なう同法第九十九条の二第一項に規定する行為については適用しな「。
 5  長官は、第一項及び前項の規定にかかわらず、自衛隊が使用する航空機の安全性及び運航に関する基準、その航空機に乗り組んで運航に従事する者の技能に関する基準並びに自衛隊が設置する飛行場及び航空保安施設の設置及び管理に関する基準を定め、その他航空機に因る災害を防止し、公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。
 6 長官は、前項の規定による基準を定めようとする場合には、あらかじめ国土交通大臣と協議するものとする。
 7  航空・鉄道事故調査委員会設置法(昭和四十八年法律第百十三号)第三条の規定は、自衛隊の使用する航空機について発生した同法第二条の二第三項の航空事故等(自衛隊の使用する航空機と自衛隊以外の者が使用する航空機との間に発生したものを除く。)については、適用しない。
 8  長官は、航空事故の防止のために有益であると認める前項の航空事故等に係る情報を航空・鉄道事故調査委員会に提供するものとする。
(労働組合法 等の適用除外)
第百八条  労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、船員法 (昭和二十二年法律第百号)(第一条、第二条、第七条から第十八条まで、第二十条、第二十五条から第二十七条まで、第百二十二条から第百二十五条まで、第百二十六条(第六号及び第七号を除く。)、第百二十七条、第百二十八条(第三号を除く。)及び第百三十四条並びにこれらに関する第百二十条の規定を除く。)、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)、じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)、船員災害防止活動の促進に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)及び労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)並びにこれらに基く命令の規定は、隊員については、適用しない。
(船舶法 等の適用除外)
第百九条  船舶法(明治三十二年法律第四十六号)、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)、船舶のトン数の測度に関する法律(昭和五十五年法律第四十号)及び小型船舶の登録等に関する法律(平成十三年法律第百二号)の規定は、海上自衛隊(防衛大学校を含む。以下{章中同じ。)の使用する船舶については、適用しない。ただし、船舶安全法第二十八条の規定中危険及び気象の通報その他船舶航行上の危険防止に関する部分は、海上自衛隊の政令で定める船舶については、適用があるものとする。
 2  海上自衛隊の使用する船舶は、内閣府令で定めるところにより、国の所有に属するものにあつては国籍を証明する書類を、その他のものにあつては海上自衛隊の使用するものであることを証明する書類を備え付けなければならない。
(船舶職員法 の適用除外)
第百十条  船舶職員法 (昭和二十六年法律第百四十九号)の規定は、海上自衛隊の使用する船舶及びこれに乗り組んで船舶職員の業務に従事する隊員については、適用しない。
(海上自衛隊の使用する船舶についての技術上の基準等)
第百十一条 長官は、海上自衛隊の使用する船舶について堪航性及び人命の安全を確保するため必要な技術上の基準及び配員の基準を定めなければならない。
(電波法 の適用除外)
第百十二条  電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第百四条の規定にかかわらず、同法 の規定のうち、無線局の免許及び検査並びに無線従事者に関するものは、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合については、適用しない。
 2 長官は、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合には、その使用する周波数について、総務大臣の承認を受けなければならない。
 3  自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合には、前項に規定する周波数の使用に関し、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するため、総務大臣が定めるところに従うものとする。
 4  長官は、無線通信の良好な運行を確保するため、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合における無線局の開設及び検査並びに当該無線局で無線通信に従事する者に関し必要な基準を定めなければならない。
(道路運送法 の適用除外)
第百十三条  道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第七十八条、第九十四条 及び第九十五条の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない。
(道路運送車両法 の適用除外)
第百十四条  道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号)の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない。
 2  道路運送車両法 の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、長官は、保安基準並びに整備及び検査の基準を定めなければならない。
 3  道路運送車両法 の規定が適用されない自動車は、長官の定めるところにより、他の自動車と明らかに識別することができるような番号及び標識を付さなければならない。
 4  自衛隊の使用する自動車以外の自動車は、前項に規定する番号若しくは標識又はこれらにまぎらわしい番号若しくは標識を付してはならない。
 5 第三項の自動車に付する標識の制式は、官報で告示する。
(土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法の適用除外)
第百十四条の二 土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法(昭和四十二年法律第百三十一号)の規定は、自衛隊の使用する自動車については、適用しない。
(銃砲刀剣類所持等取締法 の適用除外)
第百十五条  銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)第二十八条の規定は、自衛隊の保有する銃砲については、適用しない。
(消防法 の適用除外)
第百十五条の二  消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十条第一項の規定は、自衛隊が第六章に定める行動に際して、又は自衛隊の演習場において、危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合については、適用しない。
 2  長官は、前項の規定にかかわらず、自衛隊が貯蔵し、又は取り扱う危険物について、消防法に準拠して貯蔵又は取扱に関する基準を定め、その他危険物による災害を防止し、公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。
(麻薬及び向精神薬取締法 等の特例)
第百十六条 自衛隊の部隊又は補給処で政令で定めるものは、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二十六条第一項及び第二十八条第一項 又は覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第三十条の九及び第三十条の七 の規定にかかわらず、麻薬又は医薬品である覚せい剤原料を譲り受け、及び所持することができる。この場合においては、当該部隊の長又は補給処の処長は、麻薬及び向精神薬取締法狽ヘ覚せい剤取締法の適用については、麻薬管理者又は覚せい剤原料取扱者とみなす。
(需品の貸付)
第百十六条の二  内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、自衛隊の航空機以外の航空機が自衛隊の飛行場に着陸した場合において他から入手するみちがないと認めるときは、次の飛行に必要な限度において、かつ、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、内閣{令で定めるところにより、これに対し液体燃料その他内閣府令で定める需品を無償で貸し付けることができる。
 2 前項の規定に基き内閣総理大臣が内閣府令を定める場合には、あらかじめ財務大臣と協議するものとする。
(食事の支給)
第百十六条の三 自衛隊の周知宣伝のため必要があると認めるときは、隊員以外の者で自衛隊を視察し、又は見学するものに対し、防衛庁の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十条の規定により隊員に支給される食事を適正な対価で支給することができる。
 2  前項に規定するもののほか、自衛隊の任務遂行に直接必要な装備品、船舶、航空機及び食糧その他の需品又は役務の調達に際し自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内において当該調達に係る作業に従事する隊員以外の者で、その附近において自ら食事をととのえることができないと認められるものに対しても、前項の例により食事を支給することができる。
(事務の区分)
第百十六条の四 第百三条第一項及び第二項並びに第百五条第四項、第五項(申請書に意見を記載した書面を添える部分を除く。)及び第六項並びに第百三条第三項において準用する災害救助法第二十三条の二第二項及び第三項 、第二十三条の三、第二十四条第五項 並びに第二十九条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号 法定受託事務とする。
(委任規定)
第百十七条 この法律に特別の定があるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
(経過措置)
第百十七条の二  この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第九章 罰則
第百十八条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
 一 第五十九条第一項又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者
 二  第六十二条第一項の規定に違反した者
 三  第六十二条第二項の規定に違反して営利を目的とする会社その他の団体の地位に就いた者
 四 正当な理由がなくて自衛隊の保有する武器を使用した者
 2  前項第一号に掲げる行為を企て、教唆し、又はそのほう助をした者は、同項の刑に処する。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は禁錮に処する。
 一  第六十一条第一項の規定に違反した者
 二 第六十四条第一項の規定に違反して組合その他の団体を結成した者
 三  第六十四条第二項の規定に違反した者
 四  第七十条第一項第一号の規定による防衛招集命令を受けた予備自衛官又は第七十五条の四第一項第一号若しくは第二号の規定による防衛招集命令若しくは治安招集命令を受けた即応予備自衛官で、正当な理由がなくて指定された日から三日を過ぎてなお指定された場鰍ノ出頭しないもの
 五  第七十七条又は第七十九条第一項の規定による出動待機命令を受けた者で、正当な理由がなくて職務の場所を離れ七日を過ぎたもの又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて七日を過ぎてなお職務の場所につかないもの
 六  第七十八条第一項又は第八十一条第二項に規定する治安出動命令を受けた者で、上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しないもの
 七 上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者
 八 正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
 2  前項第二号若しくは第四号から第六号までに規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第三号、第七号若しくは第八号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。
第百二十条  第七十八条第一項又は第八十一条第二項に規定する治安出動命令を受けた者で、次の各号の一に該当するものは、五年以下の懲役又は禁こに処する。
 一  第六十四条第二項の規定に違反した者
 二  正当な理由がなくて職務の場所を離れ三日を過ぎた者又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて三日を過ぎてなお職務の場所につかない者
 三 上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者
 四 正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
 2 前項第二号に規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第一号、第三号若しくは第四号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。
第百二十一条  自衛隊の所有し、又は使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物を損壊し、又は傷害した者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第百二十二条 第七十六条第一項の規定による防衛出動命令を受けた者で、次の各号の一に該当するものは、七年以下の懲役又は禁こに処する。
 一  第六十四条第二項の規定に違反した者
 二  正当な理由がなくて職務の場所を離れ三日を過ぎた者又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて三日を過ぎてなお職務の場所につかない者
 三 上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しない者
 四 正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
 五 警戒勤務中、正当な理由がなくて勤務の場所を離れ、又は睡眠し、若しくはめいていして職務を怠つた者
 2 前項第二号若しくは第三号に規定する行為の遂行を教唆し、若しくはそのほう助をした者又は同項第一号若しくは第四号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくはせん動した者は、それぞれ同項の刑に処する。

周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(周辺事態法)


(平成十一年五月二十八日法律第六十号)
最終改正:平成一一年一二月二二日法律第一六〇号

(目的)
第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)に対応して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。
(周辺事態への対応の基本原則)
第二条 政府は、周辺事態に際して、適切かつ迅速に、後方地域支援、後方地域捜索救助活動、周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号。以下「船舶検査活動法」という。)に規定する船舶検査活動その他の周辺事態に対応するため必要な措置(以下「対応措置」という。)を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする。
 2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。
 3 内閣総理大臣は、対応措置の実施に当たり、第四条第一項に規定する基本計画に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。
 4 関係行政機関の長は、前条の目的を達成するため、対応措置の実施に関し、相互に協力するものとする。
(定義等)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 後方地域支援 周辺事態に際して日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国の軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置であって、後方地域において我が国が実施するものをいう。
 二 後方地域捜索救助活動 周辺事態において行われた戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)によって遭難した戦闘参加者について、その捜索又は救助を行う活動(救助した者の輸送を含む。)であって、後方地域において我が国が実施するものをいう。
 三 後方地域 我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。以下同じ。)及びその上空の範囲をいう。
 四 関係行政機関 次に掲げる機関で政令で定めるものをいう。
  イ 内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関並びに国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関
  ロ 内閣府設置法第四十条 及び第五十六条並びに国家行政組織法第八条の三に規定する特別の機関
 2 後方地域支援として行う自衛隊に属する物品の提供及び自衛隊による役務の提供(次項後段に規定するものを除く。)は、別表第一に掲げるものとする。
 3 後方地域捜索救助活動は、自衛隊の部隊等(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)が実施するものとする。この場合において、後方地域捜索救助活動を行う自衛隊の部隊等において、その実施に伴い、当該活動に相当する活動を行う合衆国軍隊の部隊に対して後方地域支援として行う自衛隊に属する物品の提供及び自衛隊による役務の提供は、別表第二に掲げるものとする。
(基本計画)
第四条  内閣総理大臣は、周辺事態に際して次に掲げる措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該措置を実施すること及び対応措置に関する基本計画(以下「基本計画」という。)の案につき閣議の決定を求めなければならない。
 一  前条第二項の後方地域支援
 二 前号に掲げるもののほか、関係行政機関が後方地域支援として実施する措置であって特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるもの
 三  後方地域捜索救助活動
 四  船舶検査活動法第二条に規定する船舶検査活動(以下「船舶検査活動」という。)
 2 基本計画に定める事項は、次のとおりとする。
 一  対応措置に関する基本方針
 二 前項第一号又は第二号に掲げる後方地域支援を実施する場合における次に掲げる事項
  イ 当該後方地域支援に係る基本的事項
  ロ 当該後方地域支援の種類及び内容
  ハ 当該後方地域支援を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項
  ニ その他当該後方地域支援の実施に関する重要事項
 三 後方地域捜索救助活動を実施する場合における次に掲げる事項
  イ 当該後方地域捜索救助活動に係る基本的事項
  ロ 当該後方地域捜索救助活動を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項
  ハ 当該後方地域捜索救助活動の実施に伴う前条第三項後段の後方地域支援の実施に関する重要事項(当該後方地域支援を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項を含む。)
  ニ その他当該後方地域捜索救助活動の実施に関する重要事項
 四  船舶検査活動法第四条 に規定する事項
 五 前三号に掲げるもののほか、自衛隊が実施する対応措置のうち重要なものの種類及び内容並びにその実施に関する重要事項
 六 第二号から前号までに掲げるもののほか、関係行政機関が実施する対応措置のうち特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるものの実施に関する重要事項
 七 対応措置の実施について地方公共団体その他の国以外の者に対して協力を求め又は協力を依頼する場合におけるその協力の種類及び内容並びにその協力に関する重要事項
 八 対応措置の実施のための関係行政機関の連絡調整に関する事項
 3 第一項の規定は、基本計画の変更について準 用する。
(国会の承認)
第五条 基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する後方地域支援、後方地域捜索救助活動又は船舶検査活動については、内閣総理大臣は、これらの対応措置の実施前に、これらの対応措置を実施することにつき国会の承認を得なければならない。ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該後方地域支援、後方地域捜索救助活動又は船舶検査活動を実施することができる。
 2 前項ただし書の規定により国会の承認を得ないで後方地域支援又は後方地域捜索救助活動を実施した場合には、内閣総理大臣は、速やかに、これらの対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならない。
 3 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、速やかに、当該後方地域支援又は後方地域捜索救助活動を終了させなければならない。
(自衛隊による後方地域支援としての物品及び役務の提供の実施)
第六条 内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、基本計画に従い、第三条第二項の後方地域支援としての自衛隊に属する物品の提供を実施するものとする。
 2 防衛庁長官は、基本計画に従い、第三条第二項の後方地域支援としての自衛隊による役務の提供について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、防衛庁本庁の機関又は自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。
 3 防衛庁長官は、前項の実施要項において、当該後方地域支援を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
 4  防衛庁長官は、実施区域の全部又は一部がこの法律又は基本計画に定められた要件を満たさないものとなった場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。
 5 第三条第二項の後方地域支援のうち公海又はその上空における輸送の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者は、当該輸送を実施している場所の近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該輸送の実施を一時休止するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。
 6  第二項の規定は、同項の実施要項の変更(第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。
(後方地域捜索救助活動の実施等)
第七条  防衛庁長官は、基本計画に従い、後方地域捜索救助活動について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。
 2 防衛庁長官は、前項の実施要項において、当該後方地域捜索救助活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
 3 後方地域捜索救助活動を実施する場合において、戦闘参加者以外の遭難者が在るときは、これを救助するものとする。
 4 後方地域捜索救助活動を実施する場合において、実施区域に隣接する外国の領海に在る遭難者を認めたときは、当該外国の同意を得て、当該遭難者の救助を行うことができる。ただし、当該海域において、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、当該活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる場合に限る。
 5  前条第四項の規定は実施区域の指定の変更及び活動の中断について、同条第五項の規定は後方地域捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者について準用する。
 6  第一項の規定は、同項の実施要項の変更(前項において準用する前条第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。
 7 前条の規定は、後方地域捜索救助活動の実施に伴う第三条第三項後段の後方地域支援について準用する。
(関係行政機関による対応措置の実施)
第八条 前二条に定めるもののほか、防衛庁長官及びその他の関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、対応措置を実施するものとする。
(国以外の者による協力等)
第九条 関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。
 2 前項に定めるもののほか、関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる。
 3 政府は、前二項の規定により協力を求められ又は協力を依頼された国以外の者が、その協力により損失を受けた場合には、その損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(国会への報告)
第十条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。
 一 基本計画の決定又は変更があったときは、その内容
 二 基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果
(武器の使用)
第十一条  第六条第二項(第七条第七項において準用する場合を含む。)の規定により後方地域支援としての自衛隊の役務の提供の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、その職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。
 2 第七条第一項の規定により後方地域捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、遭難者の救助の職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。
 3 前二項の規定による武器の使用に際しては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
(政令への委任)
第十二条  この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

附則 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

附則 (平成一二年一二月六日法律第一四五号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


別表第一 (第三条関係)
種類
内容
補給
給水、給油、食事の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
輸送
人員及び物品の輸送、輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
修理及び整備
修理及び整備、修理及び整備用機器並びに部品及び構成品の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
医療
傷病者に対する医療、衛生機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
通信
通信設備の利用、通信機器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
空港及び港湾業務
航空機の離発着及び船舶の出入港に対する支援、積卸作業並びにこれらに類する物品及び役務の提供
基地業務
廃棄物の収集及び処理、給電並びにこれらに類する物品及び役務の提供
備考
  一 物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする。
二 物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。
三 物品及び役務の提供は、公海及びその上空で行われる輸送(傷病者の輸送中に行われる医療を含む。)を除き、我が国領域において行われるものとする。


別表第二 (第三条関係)
種類
内容
補給
給水、給油、食事の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
輸送
人員及び物品の輸送、輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
修理及び整備
修理及び整備、修理及び整備用機器並びに物品及び構成品の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
医療
傷病者に対する医療、衛生機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
通信
通信設備の利用、通信機器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
宿泊
宿泊設備の利用、寝具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
消毒
消毒、消毒機具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供
備考
  一 物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする。
二 物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。


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