日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(旧安保条約)

(昭和二十七年四月二十八日 条約第六号)

 日本国は、本日連合国との平和条約に署名した。日本国は、武装を解除されているので、平和条約の効力発生の時において固有の自衛権を行使する有効な手段を持たない。
無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので、前記の状態にある日本国には危険がある。よって、日本国は、平和条約が日本国とアメリカ合衆国の間に効力を生ずるのと同時に効力を生ずべきアメリカ合衆国との安全保障条約を希望する。
 平和条約は、日本国が主権国として集団的安全保障取極を締結する権利を有することを承認している。

第一条 平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部から武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。

第二条 第一条に掲げる権利が行使される間は、日本国は、アメリカ合衆国の事前の同意なくして、基地における若しくは基地に関する権利、権力若しくは権能、駐兵若しくは演習の権利又は陸軍、空軍若しくは海軍の通過の権利を第三国に許与しない。

第三条 アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する。

第四条 この条約は、国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めたときはいつでも効力を失うものとする。

第五条 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国によって批准させなければならない。この条約は、批准書が両国によってワシントンで交換されたときに効力を生ずる。

 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で、日本語及び英語により、本書二通を作成した。
 日本国のために   アメリカ合衆国のために
  吉田茂       ディーン・アチソン
            ジョーン・フォスター・ダレス
            アレキサンダー・ワイリー
            スタイルス・ブリッジス

昭和二六年(一九五一年)九月八日 サン・フランシスコで署名
昭和二六年一一月一八日 批准(閣議決定)
昭和二七年四月二八日 批准交換、発行(昭和二七年外告一三)


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