日本平和委員会の声明など

■[声明]新テロ特措法の衆議院での再議決による強行に抗議し、
インド洋への自衛隊の派兵の中止を求める―あらゆる海外派兵と恒久的海外派兵法に反対するため全力をあげよう―

2008年1月11日 日本平和委員会

 自民・公明与党両党は、米軍などによるアフガニスタン報復戦争を支援する新テロ特措法案が参議院で反対多数で否決されたにも関わらず、本日午後、衆議院で再議決し強行した。これは、国民の意思を無視してアメリカの要求を最優先し、数の横暴によって憲法違反の戦争協力法を強行するという、何重にも許しがたい暴挙である。我々は満身の怒りをもって抗議するとともに、インド洋に自衛隊が再び派兵されないように運動を強める決意を表明する。
 この新テロ特措法が、憲法違反の報復戦争支援法であり、自衛隊によって米軍等に補給される燃料が罪なきアフガニスタンの人々の命を奪う米軍の空爆などに使用され、無法なイラク戦争にも転用される危険も排除できないこと。また、それが支援する報復戦争がテロの防止と根絶どころか、憎悪を拡大しテロを激増させる結果を生み出していること。憲法9条を持つ日本がやるべきは、戦争をやめさせ、現に開始されている和平と和解のプロセスを促進させるために力を尽くすことであること――臨時国会での論戦によってこれらのことはいっそう明らかになってきた。
 だからこそ、どんな世論調査でも国民の過半数前後がこの法案に反対し、また、衆院再議決による強行への反対も多数となってきたのである。そして、この国民世論を背景に、参議院で法案は否決されたのである。今回の衆院での再議決は、この国民の意思を真っ向から踏みにじるものである。二院制は民意を正しく反映させるためのシステムである。憲法59条も衆参両院で可決したとき法律になると定めており、二院がそろわなかったら廃案にするのが原則である。しかも現在の参院の構成は直近の選挙でつくられたものであり、現在の国民の意思をより反映している。その結果を全く無視した今回の暴挙は、議会制民主主義に汚点を残すものである。それは、自公政権に対する国民の批判をいっそう高めずにはおかないだろう。
 我々は、今後とも自衛隊をインド洋に派遣させないために全力を尽くす。また、イラクからの自衛隊の早期の撤退を求める。
さらに、新テロ特措法をめぐる審議の中で、恒久的海外派兵法をめざす動きが強まっていることは重大である。これは、アメリカの要求にこたえて、いつでも自衛隊を海外派兵し、戦争に参加させることができるようにするものである。それは、憲法9条を根底から踏みにじる立法改憲である。自民党がこれを本格的に検討することを確認しただけでなく、民主党も「対案」の中で、この法制の整備を速やかに行うことを求めていることは重大である。これは、憲法9条を守り、海外で戦争する国づくりに反対する国民世論に対する挑戦である。我々はここに、この恒久的海外派兵法制定の動きを未然に食い止め、憲法9条を守るために全力を挙げる決意を表明するものである。

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■[声明]新テロ特措法を阻止するために全力をあげよう

2007年10月17日 日本平和委員会

政府は17日、新テロ特措法を閣議決定し、明日にも国会に提出しようとしている。
 これはアメリカの報復戦争を支援するためのインド洋での自衛隊の補給活動を何としても続けるためのものである。これが憲法違反の戦争支援法であることは明白である。自衛隊も加担して続けられてきたこの報復戦争は、テロを防止・根絶するどころか、アフガニスタンの罪なき人々の命を多数奪い、アフガニスタンをテロと戦争の泥沼に落とし入れている。戦争でテロはなくせないし、むしろそれはテロを拡大する元凶になっている。このような戦争への加担はただちにやめるべきである。
 この6年間の自衛隊の補給活動の圧倒的部分が米軍へのものであり、それがアフガニスタンへの空爆、さらにはイラク攻撃にも使われていたことは重大である。これに対する批判を受けて、新法では補給対象を「海上阻止活動」を行う艦艇に限るとしている。しかし、この活動自身が米軍の報復戦争=「不朽の自由作戦」の一環である。しかも、米軍自身が明らかにしているように、この地域で活動する米軍はアフガン、イラクなど複数の任務で活動している。どの燃料がどの活動に使われたのかを特定することができないことは明白である。しかも、新法では国会承認も不要としている。政府の一存でいつでも海外派兵できる仕組みを作ろうとするものであり、断じて許すことはできない。
 私たちはこのアメリカの戦争支援法を阻止するために全力を挙げる。すでにこの間のたたかいで11月1日のテロ特措法期限切れで自衛隊はいったん撤退せざるを得ない状況に追い込まれている。世論も新法に反対が多数を占めている。この新法が戦争支援法であり、アフガンの人々の利益にも、テロの根絶につながらないことを知らせるならば、反対世論をさらに大きくしていくことはできる。平和委員会はその先頭に立って奮闘する決意を表明する。そして、アメリカいいなりに海外派兵を拡大し、「戦争する国づくり」=日米軍事同盟強化と憲法改悪をすすめる流れをストップさせるため、奮闘する決意を表明するものである。

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■【声明】米軍による沖縄での枯葉剤使用の事実を究明せよ

2007年7月9日 日本平和委員会

本日付の共同通信は、ベトナム侵略戦争当時、猛毒のダイオキシンを含む枯葉剤が沖縄の米軍基地に貯蔵され、米軍北部訓練場などで散布していたことを示す米退役軍人省の公式文書が明らかになったことを報じている。
これは枯葉剤による後遺症の補償などを求めた元米兵に対する退役軍人省不服審判委員会の98年1月13日付けの決定文で、グアム議会議員らが入手したものとされる。報道では、この米兵は61年から62年4月まで輸送兵として沖縄に赴任。枯葉剤が入ったドラム缶の輸送やドラム缶への枯葉剤の注入の作業のほか、北部訓練場内と周辺の道路わきの雑草除去のために枯葉剤の散布を行い、そのため前立腺がんになったと訴えた。そして不服審判委員会の決定は、米兵の証言内容や証拠は「矛盾がなく正当」とし、前立腺がんがダイオキシンを浴びたことに起因するのは確実として、補償などの権利を認めたという。
この事実は、沖縄の米軍基地がベトナムへの残虐無法な枯葉剤散布作戦の貯蔵・出撃拠点となっていたことを裏付けるものとして、重大である。アメリカは1961年から71年までの10年間に、ベトナム南部に約7200万リットルの枯葉剤を散布し、このうち猛毒のダイオキシンを含む「オレンジ剤」が全体の67%を占めていたといわれる。それがいまも何十万人とも言われる多数の子どもたちの障害を生み出している。我々は、沖縄がこうした残虐非道な攻撃の出撃拠点とされていたことに、改めて激しい怒りを表明するものである。
同時に、今回明らかになった事実の重大性は、米軍がこの猛毒の枯葉剤を北部訓練場で使用していたことである。北部訓練場周辺一帯は「沖縄の水がめ」といわれる地域であり、世界的にも貴重な森と生物が存在する場所である。今回明らかになったことが事実であれば、訓練場内の土壌がダイオキシンで汚染され、いまも残留している可能性がある。
ことは県民の命に関わる重大問題である。我々は日本政府に対し、この事実を即刻究明するために米政府にすべての事実の公表を求めることを含め、あらゆる手段を尽くすことを求めるものである。そして、県民に被害を及ぼさないために、必要なすべての措置をとることを求めるものである。
また我々は現在も事実上の治外法権の状態に置かれ、米軍の危険な活動が野放しの状態となっている米軍基地の撤去と、返還跡地の復旧への米国政府の責任を免罪している日米地位協定の改定を求めるものである。

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■【声明】沖縄・北部訓練場へのヘリパッド建設着工強行に抗議し、
建設のための作業の中止を求めるとともに、
反対住民への全国の支援を呼びかける

2007年7月5日 日本平和委員会

那覇防衛施設局が沖縄県北部の米軍ジャングル戦闘訓練センター(北部訓練場)へのヘリパッド(ヘリコプター離発着場)建設着工を、住民の反対の声を無視して強行したことに抗議すると共に、その作業をただちに中止することを求めるものである。
この6つものヘリパッド建設は、名護市辺野古沿岸域への新米軍基地建設と一体の基地強化である。またそれは、天然記念物のヤンバルクイナやノグチゲラなど貴重な動植物が生息する、世界的にも貴重なやんばるの森を破壊するものであり、広範な環境保護団体も反対している。しかも環境アセスメントの手続きも不十分であることが明らかになっている。また、そこを拠点にヘリや海兵隊侵攻機オスプレイが激しい訓練をくり広げ、周辺住民が爆音被害と墜落の恐怖に襲われることは必至である。だからこそ、ヘリパッドに囲われる地元東村高江区の住民(約150人)は、二度にわたって反対決議をあげてきた。
このたびの建設着工は、こうした住民の声をまったく無視するものである。しかも施設局が作業終了後に村と区に着工を通知したことは、二重に住民を無視したものであり、断じて許すことはできない。この暴挙に対し、住民たちは抗議の座り込みを続けている。住民らは、「一度完成してしまうと被害はずっと続く」「子や孫、次の世代のためにも着工させてはならない」と抗議している。
この切実な声を無視し、強権をもって基地を強化し、環境を破壊する暴挙は、ただちにやめるべきである。我々はこのことを強く要求すると共に、全国にヘリパッド建設に反対してたたかう地元住民への支援を広げることを呼びかけるものである。

●抗議先:小池百合子防衛大臣 FAX 03−5269−3270
    佐藤勉那覇防衛施設局長 FAX 098−866−3375
●激励先:「ブロッコリーの森を守る会」安次嶺現達(あしみね・げんたつ)さん宛
〒905-1201 沖縄県東村高江86 電話0980−43−2421

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■ 【声明】久間防衛大臣の「原爆投下しょうがない」発言の撤回と、同大臣の罷免を求める

久間章生防衛大臣殿
安倍晋三内閣総理大臣殿

2007年6月30日 日本平和委員会 

 久間防衛大臣が本日(6月30日)の講演の中で、広島、長崎への米国の原爆投下について、戦争終結のために「しょうがないと思っている」などと語ったことに、厳しく抗議する。
 1945年8月に広島、長崎に投下された原爆によってその年の暮れまでに21万人もの人々の命が奪われ、放射線などによる後遺症によって、いまも26万人もの被爆者が命を蝕まれ苦しみ続けている。久間大臣の暴言は、これらの被爆者の悲惨な死と苦しみに背を向けるものである。
 この広島・長崎の被爆の実相そのものが示しているように、核兵器は熱線、爆風、放射線によって、一瞬に無差別に大量の人々の命を奪い、その後も放射線が人々を蝕み続け、後の世代へも被害をもたらす、史上最悪の無差別大量殺戮兵器である。その使用が原爆投下当時の国際法にさえ違反するものであったことは、当時の日本政府でさえ、当時使用禁止とされた毒ガス兵器をはるかに凌駕する国際法及び人道の根本原則に違反すると抗議し、「人類文明に対する新たな罪悪であり、・・・即時かかる非人道的兵器の使用を放棄」するよう要求していたことにも示されている。しかも、この原爆投下が戦後の国際政治を自国に有利に動かす思惑からの実験的投下であったことも、いまや明白である。
 戦後の国連第1号決議が原子力兵器の廃棄を求め、1963年の原爆裁判が広島・長崎に投下した原爆の使用を国際法違反と断罪し、1996年の国際司法裁判所の勧告的意見が「核兵器の使用は一般的には国際法違反」と裁定したように、核兵器の使用が国際法違反であり、人類に対する犯罪であることは国際的常識となっている。
 にもかかわらず、広島・長崎変原爆投下を「しょうがなかった」「そういうことも選択としてはありうる」などと平然と語る人物に、被爆国日本の閣僚である資格はない。ましてやそうした人物が軍事政策の責任者であることは危険極まりないことであり、断じて許せない。こうした認識が、安倍政権における「核保有」議論や核兵器持ち込み容認論議、日米共同作戦計画におけるアメリカへの核兵器使用要求などの、危険な核政策と結びついているのではないか。
 我々はかかる発言の撤回を求めると共に、久間大臣の罷免を安倍総理に求めるものである。



■ 【声明】自衛隊の「情報保全隊」による違憲・違法の国民監視活動に抗議し、その全容解明と中止を求める

2007年6月7日 日本平和委員会

 6月6日、日本共産党の志位和夫委員長は、自衛隊の「情報保全隊」による大規模な国民監視活動を詳細に記録した内部文書を公表した。記録によれば、その監視の対象には、日本平和委員会や、全国の平和委員会の仲間の活動も多数含まれている。これは軍事組織である自衛隊が、憲法に保障された思想・信条・言論・表現の自由にもとづく国民の正当な市民的活動を敵視し、違憲・違法な監視活動をくりひろげているものであり、断じて許すことはできない。我々は政府に対し、その活動の全容を明らかにするとともに、ただちにこうした活動を中止することを求めるものである。
 こうした活動は、集会、結社及び言論、出版などの表現の自由を保障した憲法21条、個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利を保障した憲法23条などに違反することは明白である。このような違憲の活動は、自衛隊法によっても許されていない。2003年に「情報保全隊」を設置した際、政府はその任務について、それが自衛隊の部隊と機関の保全のための業務を行い、情報の収集もその範囲で必要なものに限って行なうこと、その対象は、「あらかじめ防衛秘密を取り扱うものとして指定した関係者のみに限定する」(中谷防衛庁長官=当時)と答弁していた。イラク反戦運動や自衛隊のイラク派兵反対運動、さらには年金・医療を守る活動、マスコミ、文化人、自治体、政党の活動などを監視の対象とする法的根拠はどこにもない。
 軍事組織である自衛隊がこのような活動を行なうことは、軍事力で国民を威嚇し、自由にものが言えない、息苦しい監視抑圧社会をつくることにつながるものである。それはまさに戦前の日本軍の憲兵隊が、武力によって国民を弾圧し抑圧した社会を想起させるものである。このようなことを断じて認めるわけにはいかない。
 こうした動きは、憲法改悪で自衛隊を軍隊にし、アメリカと共に海外で「戦争する国づくり」をめざす動きと無関係ではない。こうした動きが、自衛隊の「軍の暴走」を生み出している背景にある。また、憲法改悪派は、「有事」の際の国家緊急権の確立、その際の国民の権利の制限を盛り込むこともめざしている。今回明らかになった自衛隊の無法な監視活動は、まさに、こうした軍事優先の国家体制、「有事」における国民抑圧の体制づくりと結びついているといわざるをえない。
 我々は、こうした危険な「戦争する国づくり」の動きに改めて警鐘を鳴らすと共に、こうした違憲・違法な自衛隊の活動の中止を、厳しく求めるものである。



■ 違法な「事前調査」とそれへの自衛艦の出動に
抗議し、ただちに中止することを求める
 久間章生防衛大臣殿
  
 2007年5月18日 日本平和委員会
 
 本日、防衛省は、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を出動させて、新米軍基地建設のための沖縄・名護市辺野古沿岸域での「事前調査」作業を強行した。
 我々はこれに断固抗議すると共に、自衛艦の撤退と作業の即時中止を求めるものである。
 第1に、「事前調査」(「環境現況調査」なるもの)を「公共性」があり、「緊急性」があるなどといっているが、これは世界自然保護基金日本委員会(WWFJAPAN)も、「環境アセスメントの形骸化であり、環境影響評価法の精神をないがしろにする不法行為である」と、中止を求めている、違法で環境に悪影響を与えかねないものである。このような調査自身、中止すべきである。
 第2に、この違法な調査を、武装軍艦を動員し、反対する住民や県民を武力で威嚇してゴリ押しするなど、憲法のもとで断じて許すことはできない。「琉球新報」社説は次のように厳しく批判している。「掃海母艦は大砲や機関銃を備え、機雷の敷設や除去を主任務とする『軍艦』である。沖縄は大砲や機関銃を必要とする紛争地ではない。辺野古海域には機雷もない。いるのはジュゴンと米軍の新基地建設に反対する市民たちだ。掃海母艦は、まさに政府が国民に大砲と銃を向けるようなもので、許されない」。これが県民と良識の声である。防衛省は「妨害があるから自衛隊を出動させた」としているが、反対する住民らは違法な調査の中止を求めて、非暴力の正当な抗議活動を行なっているに過ぎない。にも関わらず、武装軍艦を出動させ、住民を威嚇して作業を強行するなど許されない。ただちに自衛艦を撤退させるべきである。
 第3に、防衛省は、掃海母艦「ぶんご」を出動させるまで、我々や国会での追及に対し、その計画の有無も、出動させる場合の法的根拠も、一切明らかにしてこなかった。これは国会と国民を無視した、法治国家にあるまじき暴挙である。武装集団である自衛隊の活動は、最も厳しく国会と国民の監視の下におかれ、法的にコントロールされなければならない。にも関わらず、計画と法的根拠を国会に示すこともなく強行したことは重大である。このようなやり方を今後行わないことを誓約すべきである。
 この乱暴な行動の背景に、アメリカの要求にこたえることを最優先し、憲法改悪をはじめ「戦争する国づくり」に暴走する安倍政権の政治姿勢があることは明白である。我々は、この二重三重に違法な自衛艦出動による「事前調査」の中止を求めると共に、この安倍政権の暴走をストップさせるために、全力をあげることを、ここに表明する。



■ イラク特措法延長の強行に抗議する――
自衛隊のイラクからの即時撤退を求める

2007年5月16日 日本平和委員会

 自民・公明両党は5月15日、自衛隊のイラク派兵を2年間延長するイラク特措法改悪案の採決を、衆院本会議で強行した。
 我々は、この大義なき恥ずべき暴挙に、厳しく抗議するものである。
 第1に、イラク戦争がウソで始められた国連憲章違反の侵略戦争であることは、いまや世界の常識である。ブッシュ大統領自身がイラクに大量破壊兵器もテロリストとの関係もなかったことを認めた。盟友だったイギリスのブレア首相も辞任せざるを得なかった。占領に加担する「有志連合」も38カ国から15カ国に減少している。もはやイラク戦争をいまも「正しかった」と支持するのは世界でも安倍政権ぐらいといってもいい。
 第2に、「自衛隊の活動は戦争終結後の人道復興支援」という政府の説明の虚構性も明白となった。政府自身が、現在活動している航空自衛隊の輸送のほぼ9割が、米軍・多国籍軍支援であることを認めた。米軍・多国籍軍が行なっている活動の中心が、残忍な武力掃討作戦であることは明白である。イラク戦争・占領のなかで、すでに65万人ものイラク人の命が奪われている。このような戦闘地域での武力作戦に加担する活動が憲法に違反することは明白である。
 第3に、米軍による占領支配はイラク国民の反発と抵抗を生み出し、イラクの復興に逆行するものであることも明白である。この占領によっていまやイラクは内戦の泥沼化状態に陥っている。このなかで、イラク国民の多数が占領軍の撤退を求めている。議会でもその声は多数となっている。このなかで、マリキ首相も「年内には自衛隊は必要なくなる」と述べている。米国の上下両院でも、米軍の撤退を求める声が多数になっている。にも関わらず、派兵を続けようという安倍政権の姿は、まさに異常そのものである。
 以上のように、ただひたすら世界で孤立を深めるアメリカのブッシュ政権の言いなりになって、イラク派兵を続ける大義は何もない。これを一刻も早くやめることこそ、イラク国民の利益になり、イラクに平和をもたらすことにつながる。
 われわれはここに、改めて自衛隊のイラクからの即時撤退を求め、参院でのイラク特措法案の延長を阻止するたたかいに、全力をあげる決意を表明するものである。



■ 改憲手続法の強行に抗議する
  ― たたかいはこれからが本番。9条守れ、憲法改悪反対の
 世論を圧倒的多数にするために全力をあげよう ―
 
 2007年5月15日 日本平和委員会
 
 政府・与党は5月14日の参院本会議で、改憲手続き法案を与党の賛成で可決・成立させた。われわれは、憲法における国民主権に関わる重要法案を、参議院では中央公聴会も開かず、審議も尽くさないまま数の力で採決した暴挙に、断固として抗議する。世論調査でも、この法案の今国会での強行を求める国民はほとんどいない。しかも、審議では、最低投票率を設けず、国民の1,2割の賛成でも改憲ができる仕組みなど、問題点が次々と明らかになった。こうした中での強行は断じて許せない。
 安倍首相は、この改憲手続法の成立を受けて、来る参院選挙で改憲を争点とし、自分の任期中の憲法改悪の道をおしすすめようとしている。しかし、この間のたたかいで、世論は大きく変化し、9条守れの世論は多数となり、改憲への不安と警戒の声が急速に広がっている。
 安倍首相の行おうとしている改憲が、先の日米首脳会談や安全保障協議委員会(2+2)にみられるように、世界規模でアメリカの戦争に日本が参戦し、“血を流す日米同盟”をつくろうとするものであることは、いよいよ明らかになっている。また、これをすすめる中心勢力が、安倍首相をはじめとする侵略戦争無反省の「靖国派」であり、国民の権利を抑圧する戦前回帰の社会をめざしていることも、浮き彫りになってきている。こうした方向が、戦後かちとった平和と民主主義の擁護を求める広範な国民の願いと相容れないことは明白である。
 こうした中で、明文改憲の実現に危機感を持つ安倍政権は、集団的自衛権行使を検討する「有識者懇談会」なるものを設立し、解釈改憲によって集団的自衛権行使を可能にし、アメリカの戦争に日本が参加する道を開く策略をもおしすすめている。このような法治国家の根幹を揺るがす暴挙は、断じて許されない。
 たたかいはまさに、これからが本番である。「アメリカと海外で戦争する国づくり」という憲法改悪のねらいを徹底的に知らせるならば、9条守れ、憲法改悪反対の声を圧倒的多数にすることは可能である。われわれは、この声を広げに広げ、改憲の発議を断念させ、改憲を阻止するために、今後とも全力をあげることを、ここに表明する。



■ 伊藤一長長崎市長への凶悪なテロ行為を糾弾する

2007年4月18日 日本平和委員会

 昨夜、伊藤一長長崎市長が、市長選挙の最中に暴力団幹部によって銃撃され殺害された。被爆地の市長として核兵器廃絶を求めて活動してこられた伊藤市長に対し、心から哀悼の意を表明する。
 どのような理由であれ、このような卑劣なテロ行為は絶対に許されない。それは自由と民主主義に対する凶悪な攻撃である。我々は、満身の怒りを持って糾弾する。
 また、かかるテロ行為が再発しないよう、厳正な措置をとることを求めるものである。



■ 改憲手続き法案と米軍再編特措法案の衆院委員会での採決強行に抗議する―抗議の声を集中し、廃案に追い込もう!

2007年4月13日 日本平和委員会

 昨日4月12日、自民、公明は衆院憲法特別委員会で改憲手続き法案(国民投票法案)を、また衆院安保委では米軍再編特措法案の採決を、野党の反対を押し切って強行した。
 私たちはこの「戦争する国づくり」めざす重大な2つの悪法の強行に、満身の怒りをもって抗議する。そして、全国津々浦々からこの暴挙に抗議する声を集中し、今国会でこれらの法案を廃案に追い込むため、いっそうとりくみを強める決意を表明する。
 改憲手続き法案は何よりも、日本を海外でアメリカと共に「戦争する国」にする、憲法改悪への突破口となるものである。しかもこの与党案は、最低投票率を定めず、国民の1、2割の賛成でも憲法を改悪できるようにする点でも、教育者、公務員の自由な意見表明を奪う点でも、財力を持つ勢力がCMなどを買い取って際限なく改憲キャンペーンを展開できるようにする点でも、改憲勢力に有利な不公正・非民主主義的な仕組みづくりであることが、審議の過程で浮き彫りになってきた。
 だからこそ世論調査でも、今国会での成立を求める声は1割に過ぎず、慎重な審議を求める声が圧倒的多数を占めている。与党の採決強行は、この国民の圧倒的な声に逆らうものである。憲法という国の最高法規の改定手続きに関わる法案を、国民の合意を得ないままごり押しすることは、絶対に許されない。私たちは廃案を求めてひきつづきたたかうものである。
 一方、米軍再編特措法案は、日本の米軍基地を世界規模の出撃・司令基地としていっそう強化し、米軍・自衛隊の一体化を推し進め、さらにはグアムの米軍基地を強化するために、湯水のごとく血税を注ぎ込むものである。また、基地強化に対する態度で自治体を差別し、金を振りかざして自治体に基地強化を押し付ける卑劣な悪法である。
 この審議も、委員会でわずか17時間30分という極めて不十分なものであった。しかもこの過程で、政府はグアムの基地建設の法的根拠も、約7000億円の積算根拠も示すことができず、これがアメリカ言いなりにグアムの米軍基地増強に税金を投入するものであることが明らかになってきた。また、自治体への差別的な交付金支出の制度についても、「こうした手法に大きな怒りと疑義を禁じえない」(座間市議会決議)など、関係自治体から批判の声が上がっている。こうした問題点を徹底審議して明らかにすべきである。
 政府・与党が、この2つの悪法をほぼ同時に成立させようとしていることは、米軍基地を再編強化し、米軍と自衛隊を一体化する動きと、憲法改悪の動きとが、まさに一体の「戦争する国づくり」の策動であることを、如実に示すものである。しかし、憲法9条の改悪に反対する声は、その危険性が明らかになる中で日増しに高まっている。NHKの世論調査でも、9条改定に反対は44%(賛成は25%)、読売新聞の世論調査でも56%が反対を表明している。私たちは、こうした国民の平和を求めるエネルギーに依拠し、この2つの悪法を廃案に追い込むため、今後とも全力を尽くすものである。



■ 原爆症認定集団訴訟仙台・東京地裁判決の控訴に、断固として抗議する
 ――国は控訴を取り下げ、原爆症認定行政を抜本的に改めよ――
 
2007年3月30日 日本平和委員会
 
 本日国は、厚生労働省の原爆症認定行政の不当性を断罪した原爆症認定集団訴訟仙台・東京地裁判決に対し、被爆者の控訴するなとの声を無視し、控訴を強行した。
 これは、核兵器の被害の実相をしっかりと認めてほしいという被爆者の痛切な願いと、国の原爆症認定行政の誤りを認めた一連の司法の判断の重みを、まったく無視した暴挙である。我々はこの理不尽で冷酷な控訴に対し、怒りを込めて抗議する。
 原爆症認定行政をめぐるこの間のすべての判決で、原爆症認定の範囲を著しく狭める国の非科学的機械的行政の誤りが明白になっている。今回の判決でも、残量放射線による外部被曝、内部被曝の影響を含め、被曝状況や直後の行動、身体的症状などを総合的に判断して認定行政を行なうべきとの判断が下されている。
 原爆症認定訴訟のこの間の一連の勝訴と、被爆者の命がけのたたかいによって、国の機械的で冷酷な被爆者行政のあり方への批判は、これまでになく大きく広がってきた。自民党、公明党、民主党も含む与野党に、政府の審査のあり方を追及し、認定制度を根本的に改めるべきだとの声ととりくみが広がっている。今回の判決を「控訴するな」と求める署名に賛同した議員は3月30日現在で与野党すべての政党にまたがり100人を突破した。多くのマスコミも国の原爆症認定行政を改めることを求めている。どのように強弁しようとも、国の被爆者認定行政は、決定的に孤立を深めている。
 高齢化し、病気を抱えた被爆者原告にとって、高裁、最高裁と裁判を長引かせることは耐え難いことである。229人の原告のうちすでに31人の原告が判決を聞くことなく亡くなっている。国はどこまで被爆者を苦しめ続けるのか。
 国は今すぐ控訴を取り下げ判決に従うと共に、被爆者との協議に応じ、原爆症認定制度の抜本的改革を行なうべきである。
 我々はそのために、被爆者と共に今後ともたたかう決意を表明するものである。




■ いわゆる「従軍慰安婦」問題での発言の撤回と下村官房副長官の罷免を求める要請書
内閣総理大臣・安倍晋三殿

2007年3月28日 日本平和委員会

 米下院外交委員会で「従軍慰安婦」問題での日本政府の謝罪を求める決議案が提起されたのに対し、貴職は「慰安婦を強制連行したことを裏付ける証拠はない」と繰り返し述べ、この発言の撤回を拒否している。
 一方で貴職は、「従軍慰安婦」問題へのお詫びと反省を表明したいわゆる「河野談話」を継承するとも述べている。しかし、「河野談話」の核心は、いわゆる「従軍慰安婦」問題が、あらゆる面で日本軍が関与して、植民地支配下の朝鮮半島、台湾等の女性を強制的に日本軍の性奴隷としてきた問題であることを、明確に認めたことにある。それは、「慰安所」が「当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安所の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」こと。「慰安婦の募集」についても、「軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧によるなど、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、さらに、官憲等が直接これに加担したこともあった」こと。さらに「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」ことを明確に指摘している。
 貴職の発言は、まさにこの「河野談話」を否定するものに他ならない。それは、「若い女性を日本帝国軍隊が強制的に性的奴隷化した」「日本国政府による強制的性売春」「20世紀最大の人身売買事案」(米下院外交委員会決議案)と批判される、この世紀の人権蹂躙の蛮行をかばい立てし、人権感覚の驚くべき欠如を世界にさらけ出すものに他ならない。またそれは、筆舌に尽くせない苦しみを強いられ、その苦しみと格闘しながら、勇気を振り絞って日本軍の蛮行を告発した元「従軍慰安婦」の方々をうそつき呼ばわりする暴言である。この根底には、アジア・太平洋諸国民に痛苦の犠牲をもたらした日本の侵略戦争への反省の欠如がある。このような発言を繰り返す貴職に、首相の資格はない。
 私たちは、貴職がこの発言を撤回すると共に、「河野談話」の立場に立って、日本政府として明確な謝罪と被害者への補償を行なうこと。歴史教育においてこうした事実を正しく伝え、同じ過ちを繰り返さないための措置をとることを、強く求めるものである。
 また、下村博文官房副長官が「従軍慰安婦はいなかった」「親が娘を売ったということはあったと思う。娘からすれば、それは強制だ。だが、日本軍が関与していたわけではない」などと、軍の関与さえも否定し親に責任を転化する、許しがたい暴言を吐いていることも重大である。「河野談話」を継承するというのであれば、このような暴言を吐いている下村官房副長官を、任命権者の責任として、即刻罷免すべきである。このことも合わせて求めるものである。



■ 朝鮮半島の非核化をめざす「6カ国協議」の合意について

2007年2月14日 日本平和委員会

 一、北朝鮮の核開発問題をめぐって行なわれていた6カ国協議は2月13日、共同文書「共同声明の実施のための初期段階の措置」を採択して閉幕した。
 これは2005年9月の「共同声明」にもとづく平和的な手段による朝鮮半島の非核化と、北東アジアの平和と安全の実現に向けた重要な一歩となるものであり、我々はこの合意の誠実な実行を関係各国に強く求めるものである。
 我々は、北朝鮮の核実験に際して、これを朝鮮半島非核化の合意と核兵器廃絶に背くものとして厳しく批判し、核兵器及び核兵器開発計画を放棄すること、即時・無条件で6カ国協議に復帰することを強く求めた。同時に、国際社会がこの事態の平和的・外交的解決のために、一致協力して対応すべきことを強く求めてきた。今回の合意は、こうした方向での国際社会、とりわけ関係国の粘り強い努力の成果であり、心から歓迎する。
 一、共同文書は初期段階の措置として、北朝鮮が核施設の最終的放棄を目的として、その活動の停止と封印を行い、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れること、それに対応して各国が今後60日以内に5万トン重油相当の緊急エネルギー支援を行うことを確認した。そして初期段階行動を実施し、「共同声明」を全面的に実行するために、@朝鮮半島非核化A米朝国交正常化B日朝国交正常化C経済・エネルギー協力D北東アジアの平和・安全保障メカニズム――の5つの作業部会を設置し、30日以内に会合を開くとしている。
 さらに共同文書は、「初期段階及び次の段階の期間中」の措置として、北朝鮮がすべて核計画を全面的に申告し、核施設を無能力化するのに応じて、北朝鮮に対して重油95万トン相当の経済・エネルギー・人道援助を実施するとしている。
 また、6者が相互信頼を高めるために積極的な措置をとり、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を行うことを改めて確認した。そして初期段階の措置が実施された後、6カ国の外相会議を開き、北東アジアの安全保障面での協力を検討。さらに、直接の当事国が朝鮮半島の恒久的平和体制を協議するとしている。
 一、以上に見られるように、この合意は、朝鮮半島の非核化と共に北東アジアの永続的な平和と安全をめざす方向に立つものである。この方向での努力の前進は、日本とアジアの平和の実現にとってきわめて重要な意義を持っている。我々はこの協議が成果をあげるよう、当事国が真しに努力することを強く要求する。また、核の拡散を防ぐためにも核保有国に核兵器廃絶のため努力するよう、強く求めるものである。
 共同文書は日朝関係について「平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとるため、二者間の協議を開始する」ことを明記した。日本政府がこの方向で真剣に努力するとともに、軍事的対応でなく平和的解決の立場に立ち、これを「共同声明」の実現に向けた全体の努力に結びつけることを求めるものである。



■ 民意を踏みにじる横須賀市議会の原子力空母母港化の是非を問う「住民投票条例」否決に抗議する

2007年2月8日 日本平和委員会

 本日、横須賀市議会の本会議で、米軍横須賀基地への原子力空母配備の是非を問う住民投票条例案の制定について、賛成10人、反対31人で否決したことに対し、強く抗議する。
 この条例制定案は、横須賀市の有権者の1割を越える直接請求署名によって求められていたものである。その背景には、市民の命と安全に深刻な影響を与える原子力空母配備について、市民の意思を直接表明する機会を設けてほしいという、切実かつ極めて当然な広範な市民の意思がある。自ら原子力空母配備に反対する公約を掲げて市長になりながら日米政府の言いなりになって一方的に容認の立場に変節した蒲谷市長と、二度にわたって配備反対の市議会決議を採択しながら市長に追随し住民投票条例を否決した市議会議員に、民主主義を語る資格はない。
 市長も本条例に反対した議員も、「原子力空母配備問題は国が判断すべきもので住民投票になじまない」「外交関係の国の決定に地方公共団体が関与し制限することは認められない」などの暴論を展開している。これは、お上のやることに自治体も住民もたてつくなという、戦前の時代遅れの発想そのものではないか。外交や基地問題についても、住民の命と安全を守る立場から、主張すべきことを主張するのは、自治体の当然の責務である。また、行政や議会が公約や民意に反した重大な行動をとったとき、これに対する市民の意思を問う住民投票を求めることは、あまりに当然の民主主義的要求である。
 過日、日本平和委員会が外務省交渉を行ったときも、担当官は、安保条約よりも最高法規の憲法が優先し、そこで定められている国民主権や民主主義、地方自治を尊重する、それゆえ住民投票が行なわれて市民の意思が示された場合はそれを最大限に尊重するのは当然と述べた(それに従って断念するとは明言しなかったが)。住民投票に背を向けた市長や市議会議員の思想は、この外務省担当官の立場からもはるかに遅れた、非民主主義的なものであるといわざるをえない。
 条例は否決されたが、市民に背を向けたこのような暴挙は、必ずや市民の厳しい審判にさらされる。なぜなら、原子力空母配備は、市民と子どもたちの命と未来に重大な危険をもたらすものであることがあまりに明らかであるからである。この間の運動の中で、市民は国の言いなりにも、行政の言いなりにもならない、「自分たちの未来は自分たちが決める」という民主主義の大きなエネルギーを持っていることを示してきた。
 私たちは、横須賀市民のみなさんと共に、横須賀だけでなく、首都圏、日本の平和と安全にとっても重大な害悪をもたらす原子力空母配備を阻止するために、今後とも全力をあげることを、ここに表明するものである。



■ 米軍はソマリアでの軍事攻撃をやめよ
 -外国からの軍事介入の即時停止と紛争の平和的・政治的解決をもとめる-

2007年1月15日 日本平和委員会

 暫定政府勢力と反政府勢力との激しい内戦状態がつづくソマリアにたいして、米軍は1月8日、テロ組織「アルカイダ」の掃討を理由に、空爆による攻撃を開始した。これまでに住民や子ども、人道支援活動にあたっているNGOのスタッフなど民間人100人以上が犠牲になったと報じられている。こうした軍事作戦は、人道上も、国際上も決して許されるものではない。すでに、欧州連合(EU)やイタリアなど欧州各国から強い懸念と批判が表明されている。我々は、米軍の武力行使を直ちに中止することを要求する。

 ソマリアでは1992年に大統領が追放され、無政府状態におちいって以降、その秩序回復をめざして、イスラム長老や実業家などによる「イスラム教法廷」が影響力を拡大してきた。一方、従来の軍閥、政治勢力が糾合してケニアで成立した暫定政府が、エチオピア軍の支援をうけて、これと対立してきた。同時にアメリカなどの海外からの干渉が、事態を複雑にしてきた。

 米政権は、アフリカを「対テロ戦争」の「主戦場」の一つと位置づけ、資源豊かなこの大陸への支配をつよめようとしている。とりわけ「アフリカの角」(ソマリア、ジブチ、エチオピアなど)は、戦略的に重要地域であり、軍と基地の再編強化がすすめられている。ソマリアで使われた攻撃機も、ジブチの基地から出撃したと報じられている。

 アメリカの乱暴な軍事介入はもちろん、外国からのあらゆる軍事介入をただちにやめ、内戦の平和的・政治的解決をすすめなければならない。すべての関係諸国は、自国の利害にもとづく干渉的態度をあらため、紛争の平和的・自主的解決のための支援をおこなうことを訴える。



■ 中川自民党政調会長、麻生外務大臣の相次ぐ核武装論議容認発言に抗議し、罷免を要求する
内閣総理大臣 安倍晋三殿

2006年11月7日 日本平和委員会

 貴職が自民党総裁として任命した中川昭一自民党政調会長、内閣総理大臣として任命した麻生太郎外務大臣が、核武装論議を容認する発言を繰り返していることに対し、厳しく抗議する。我々はこれまでもこの発言の撤回を求めてきたが、両者が国内外の批判を無視して、その発言を続けていることは重大である。
 貴職は、これらの発言に対し、「非核3原則を守っていくということは、閣僚も党の幹部も意見は一致している」等と言って、問題視しない立場を表明している。しかし、その発言は、「核があることで攻められる可能性は低いという論理はありうるわけだから、議論はあっていい」(中川政調会長)、「いろいろなものを検討した上で持たないというのも一つの選択肢だ」(麻生外相)等と、核武装を現実の選択肢として議論をすることを容認する立場に立つものである。こうした立場の発言を、政府与党の政策責任者や政府の外交責任者が行なうことは、被爆国日本が非核3原則を投げ捨てて核武装する疑念を、世界に与えるものであり、断じて許されない。これを事実上放置している貴職の責任も極めて重大である。
 被爆国日本政府のやるべきことは、史上最悪の非人道的無差別殺りく兵器である核兵器を廃絶する立場に立って、非核3原則を堅持し、各国に核兵器開発と核兵器保有の放棄を求めることである。核武装を論議する余地など、まったくない。
 我々は、被爆国日本政府の立場と相容れない、核武装容認発言を繰り返す両名を、貴職の責任で罷免することを要求するものである。



■ 北朝鮮政府の核実験強行に抗議する

20061010日 日本平和委員会

 北朝鮮政府が9日、核実験を強行したと発表したことに断固として抗議する。これは、実験の強行を「国際的な平和と安全に対する明確な脅威」となるとして中止を求めた全会一致の国連安保理議長声明はじめ、国際社会の声を無視するものである。また、朝鮮半島の非核化をめざす「6カ国協議」合意や「日朝平壌宣言」などの一連の国際的約束にも反するものである。
 北朝鮮政府当局者は、今後も追加核実験を行なうなどと発言している。このような暴挙はただちにやめるべきである。我々は、北朝鮮政府に対し、核兵器及び核兵器開発計画を放棄すること、即時・無条件で6カ国協議に復帰することを強く求めるものである。
 国際社会は、この事態の平和的・外交的解決のために、一致協力して対応すべきである。日本政府の一部からは、早くも「軍事的制裁も結果としてありうる」などという発言が現れている。軍事的対応は決してとってはならない。それは計り知れない惨劇を生み出すだけである。また、この事態を基地強化や日米軍事同盟の侵略的強化に利用してはならない。それはこの地域の緊張をいっそう高め、問題解決を困難にするだけである。あくまでも平和的・外交的に問題を解決するために全力をあげるべきである。
 
6カ国協議に関わるすべての国が事態の平和的解決と朝鮮半島の非核化のために粘り強く努力すること、さらに核保有国をはじめ世界のすべての国が核兵器拡散の脅威をなくすために、核兵器全面禁止条約の締結に向けてすみやかな交渉を行うよう求めるものである。



■ 米原潜から放射性物質漏れ、横須賀基地から検出
米原潜寄港及び原子力空母母港化中止を要求する

2006年9月28日 日本平和委員会

 報道によれば、文部科学省は27日、米原子力潜水艦が14日に、横須賀港を出港した際に採取した海水から、コバルト58と60などの放射性物質が検出されたと発表した。
 米原子力艦船が寄港する横須賀、佐世保、沖縄・ホワイトビーチの各基地で、両物質が検出されたのは、1964年に調査を開始して以来はじめてのことである。政府による「安全神話」は完全に破綻した。
 文部科学省の発表は、微量であり、人体に影響はないとしているが、どんなに少量だからといっても、魚貝類を食べることを通じ体に入れば、生物濃縮をくりかえし、内部被曝の症状となり、影響がでるのは否定しがたいというのが専門家の見解である。
 日米両政府は、2008年に、横須賀基地への米原子力空母の配備を計画している。
 原子力事故の危険に対する日本国民の不安に対し、米政府は「これまで日本に寄港したり、合衆国原子力軍艦の運航が、周辺の環境の一般的なバックグランド放射能の増加をまったく引き起こしていない」(4月17日に示したファクトシート)と指摘し、これを根拠に日本政府は原子力空母の「安全性」を強調してきたが、今回の事件は、日米両政府の主張の根拠が崩れたことを証明した。
 放射能漏れが明らかになった以上、米原潜の入港及び原子力空母母港化は、ただちに中止することを、強く要求するものである。
 いわゆる北朝鮮の“瀬戸際外交”路線による今回の不法不当な行為は、いかなる理由があろうとも、絶対に許すことのできない暴挙である。
 2002年の平壌宣言に反するのみならず、世界の国際世論からも完全に孤立する道である。
 さる5月29日、日米両首脳は会談後「21世紀の新しい日米同盟」共同文書を発表。始めて「世界の中の日米同盟」を明記、弾道ミサイル防衛協力や日本における有事法制の整備による日米の安全保障協力の深化、日米同盟の変革による米軍のプレゼンスのいっそうの強化をうちだした。
 こうした矢先の今回の行為は、国際世論への挑戦であり、ひたすら世界から孤立する道への選択でもある。
 北朝鮮は武力を誇示し、威嚇により、自らの国際的地位を向上する等という見当違いの態度を改め、一刻も早く、6カ国協議による話し合いによって、平和秩序の確立の立場に復帰することこそが急務であることを明確にすべきである。

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■ 未臨界核実験「ユニコーン」の中止を求める

2006年8月30日 日本平和委員会

 ジョージ・ブッシュ大統領 殿

 報道によると、アメリカ政府が1997年7月の開始以来、通算23回目となる未臨界核実験「ユニコーン」をネバダ実験場で実施することが伝えられている。
 未臨界核実験は、地下核実験が凍結されているもとで、「米国の核兵器の安全性と信頼性を維持するため」と主張している。
 アメリカ政府は、昨年のNPT再検討会議や国連サミットでは、核軍縮を取り上げることさえ反対し、核兵器廃絶を拒否し続けているばかりか、核兵器使用をたくらみ、自らの核保有を正当化し続けている。
 さらに、特定の国への拡散を容認しながら、武力や核脅迫によって「テロや拡散」に対抗しようとする政府の欺瞞と危険に対し、強く抗議し、未臨界実験の中止を要求する。
 圧倒的な国際社会の世論は、国連憲章と国際法にもとづく社会秩序の確立である。
 核兵器を含む、武力による解決を選択してはばからない「単独行動主義」は、世界からますます孤立する道であることを銘記すべきである。



■ 小泉首相の靖国神社参拝に抗議する

2006年8月15日 日本平和委員会

 小泉首相は本日、8月15日の終戦記念日に国内外の強い反対の声を無視して、靖国神社への参拝を強行した。
 いうまでもなく8月15日は、アジア・太平洋諸国民2000万人以上、日本国民310万人の命を奪った、日本軍国主義の侵略戦争が敗北した日である。それは、日本国民にとっても、アジア・太平洋諸国民にとっても、二度と再びあのような侵略戦争を許してはならないとの誓いを新たにする日である。
 この日の侵略戦争を美化する靖国神社への首相参拝は、とりわけ侵略戦争の被害を受けた人々の心を泥靴で踏みにじるものである。アジアと世界の人々が激しい怒りを表明しているのは当然である。もう退任するのだから、どんな批判を受けてもかまわないというこの行動は、日本の外交を決定的な孤立へと導く、無責任きわまる暴挙である。
 靖国神社は、日本によるアジア諸国への侵略戦争を、“正義の戦争”“アジア解放のための戦争”などと美化し、それを宣伝する役割をはたしている特異な神社である。この神社に総理大臣が参拝するということは、その考えに政府がお墨付きを与えることであり、絶対に許されないことである。これは、二度と侵略戦争をしないという反省のもとに国際社会に復帰した戦後日本の出発点を否定するものであり、日本国憲法の平和原則の原点を否定するものである。この靖国神社参拝に、かつての侵略戦争で甚大な被害を受けたアジア・世界諸国民とその政府が、激しい憤りを示すのは当然である。
 ところが小泉首相は、アジアと世界の人々が心魂を傾けてその怒りの理由を説明してきたにも関わらず、「理解できない。これは心の問題。他国にとやかく言われる筋合いはない」などと、誠意を持ってこれに向き合おうとせず、平然と参拝をくりかえしてきた。今回もまた、「中国、韓国が不愉快だからということでやめるのはおかしい」などと開き直っている。いったい首相は、なぜこれら諸国民が「不愉快」に思うのかを真剣に考えたことがあるのか。肉親を殺されて、その殺人を「正義」だとする神社に加害国の首相が参拝することを「不愉快」と感じるのは当然だとは思わないのか。こうした小泉首相の態度は、甚大な被害を受けたアジア諸国民の「心」をまったく無視する許しがたい態度である。
 われわれは、アジアと世界の人々共に、日本国民の良心をかけて小泉首相の靖国参拝強行に断固として抗議する。次期首相はじめ、日本の閣僚は今後とも靖国神社を参拝するな。



■ イスラエル・レバノン問題―国連安保理決議の履行をつよく要求する

2006年8月15日 日本平和委員会

 国連安全保障理事会が12日、全会一致で採択した停戦決議が14日に発効した。
 私たちは、イスラエル軍とレバノンの民兵組織ヒズボラとの停戦、レバノン政府軍の展開と国連レバノン暫定軍の増強に合わせたイスラエル軍の全面撤退など、決議がもとめる内容を、当事者が厳格に履行することをつよく要求する。
 それは何よりも、この間の戦闘、とりわけイスラエル軍によるレバノンへの攻撃が、多大な犠牲と甚大な被害を市民にもたらしているからである。レバノンではすでに、千人以上が犠牲になり、負傷者は数千人、避難民は百万人で人口の四分の一以上にも達している。犠牲者には多数の子どもが含まれている。また、空爆で主要道路や橋はほとんど破壊されている。これ以上の殺戮と破壊をくいとめなければならない。また、レバノンの社会と経済の復興、人々のくらしを立て直すために、国際社会の緊急支援が求められている。
 レバノンの主権確立をめざす、この決議の履行こそ、和平に向かう道をきりひらく出発点である。安保理決議1559(2004年)は、シリア軍のレバノン撤退ととともに、ヒズボラの「武装解除」を求めた。これを実現するうえでも、レバノンの国民、政治勢力間の合意を自主的につくりあげることが不可欠である。どの国であれ、武力介入は、断じて許されない。
 イスラエル軍はまた、ガザ地区とヨルダン川西岸のパレスチナ自治区に対する激しい軍事攻撃を行ってきた。この二カ月で百人以上のパレスチナ人が犠牲者になっている。イスラエルのパレスチナ占領は、この地域と世界平和の実現にとって避けて通れない問題である。私たちは、イスラエル軍の武力行使の停止、ガザなどパレスチナ自治区からの撤退とともに、パレスチナ国家の建設をはじめとする国連諸決議の履行をあらためて要求する。



■ 小泉首相は靖国神社に参拝するな

2006年8月11日 日本平和委員会

 小泉首相はこの間、8月15日に靖国神社に参拝することを示唆する発言を繰り返している。
 小泉首相は在任中、靖国神社への参拝を毎年繰り返し、アジアと世界の人々の批判にさらされてきた。それは靖国神社が、日本によるアジア諸国への侵略戦争を、“正義の戦争”“アジア解放のための戦争”などと美化し、それを宣伝する役割をはたしている特異な神社であるからに他ならない。この神社に総理大臣が参拝するということは、その考えに政府がお墨付きを与えることであり、絶対に許されないことである。これは、二度と侵略戦争をしないという反省のもとに国際社会に復帰した戦後日本の出発点を否定するものであり、日本国憲法の平和原則の原点を否定するものである。この靖国神社参拝に、2000万人以上もの人々の命を奪われたアジア諸国民とその政府が、激しい憤りを示すのは当然である。
 ところが小泉首相は、アジアの人々が心魂を傾けてその怒りの理由を説明してきたにも関わらず、「理解できない。これは心の問題。他国にとやかく言われる筋合いはない」などと、誠意を持ってこれに向き合おうとせず、平然と参拝をくりかえしてきた。これは甚大な被害を受けたアジア諸国民の「心」をまったく無視する許しがたい態度である。
 そしていま小泉首相は退任間際になって、自らの総裁選の公約として掲げた、8月15日の靖国神社への参拝を強行する姿勢を強めている。
 いうまでもなく8月15日は、アジア・太平洋諸国民に底知れない被害を与えた日本軍国主義の侵略戦争が敗北した日である。それは、日本国民にとっても、アジア・太平洋諸国民にとっても、二度と再びあのような侵略戦争を許してはならない誓いを新たにする日である。
 この日に侵略戦争を美化する靖国神社に首相が参拝するならば、侵略戦争の被害を受けた人々の心を泥靴で踏みにじり、アジアと世界の人々の怒りは頂点に達するであろう。それは日本の外交を決定的な孤立へと導く暴挙である。
 われわれは、アジアと世界の人々共に、日本国民の良心を傾けて要求する。小泉首相はじめ日本の閣僚は靖国神社を参拝するな。



■ イスラエルは侵攻をやめよ
停戦と中東和平をつよく求める

2006年7月24日 日本平和委員会

 〔1〕
 7月12日にイスラエル軍が開始したレバノン南部への攻撃は、首都ベイルート、さらには北部へと、レバノン全土に及び、空港や道路、民間の家屋などを破壊し、犠牲者となった市民の数は350人をこえている。避難民も50万に達している。イスラエルは、武装組織ヒズボラによるイスラエル兵の拉致やミサイル攻撃にたいする反撃を武力行使の理由としているが、このような過剰で、無差別な民間人・民間施設への武力攻撃は、レバノンの主権を蹂躙し、国際法の原則を無視した野蛮な行為であり、断じて許されない。
 ヒズボラが、イスラエルに越境して、兵士を拉致し、市民をも標的にした攻撃をおこなっていることは、無法で無責任な挑発行為であり、なんら大義も正当性もない。
 現局面は、この紛争が、パレスチナ・ガサ地区などでの紛争ともあいまって、周辺国を巻き込んでいっそう拡大しかねない重大な事態にある。我々は、ただちに軍事行動をやめ、停戦を実現することをつよく要求する。
 〔2〕
 国際社会は、中東と世界の平和を脅かす戦火の拡大を強く憂慮し、軍事行動の即時停止をよびかけている。いま緊急に求められているのは、この声を結集し、理性と道理、外交的手段による紛争の解決をはかることである。この点で、イスラエルにもっとも大きな影響力を持つアメリカが、国連安保理の停戦決議に拒否権を行使し、最新鋭兵器を提供するなど、国際社会の一致した対応の障害となっていることは重大である。
 我々は、国連とそのすべての加盟国が、国連憲章と国際法の原則にもとづいて、問題の平和的解決をはかるために尽力すること、そして日本政府が、この方向で全力をあげることを求める。
 〔3〕
 イスラエルは6月27日以降、パレスチナ・ガザ地区とヨルダン川西岸でも大規模な軍事行動を展開し、100人以上の市民の命を奪っている。われわれは、イスラエルがガザ地区占領などでの軍事行動をただちにやめ、すみやかに占領地域から全面撤退することを強く要求する。
 パレスチナのハマスの武装組織が、市民を巻き込んだテロ攻撃を肯定し、イスラエル兵を拉致するなどの挑発をおこなっていることは、パレスチナ解放の大義を傷つけ、問題の解決を妨げるものに他ならない。拉致兵士を釈放し、挑発行動をやめるべきである。
 日本平和委員会は、かねてから主張してきたように、パレスチナ問題の解決には、イスラエルが占領地区からすみやかに撤退するとともに、パレスチナ人民に対して国家の樹立をふくむ民族自決権を尊重すること、パレスチナとイスラエル双方が相互の生存権の承認と平和的共存の原則のもとに話し合いで解決する立場に立つことが重要であると考える。
 我々は、早急な停戦を実現し、半世紀以上にわたるイスラエル・パレスチナ問題を解決するために、国連をはじめ国際社会が、真剣で、抜本的な努力を開始することをつよく訴える。
 日本平和委員会は、国連諸決議にもとづくパレスチナ問題の公正な解決と、中東における平和秩序の確立のために、世界の平和運動との連帯を強めることをあらためて表明する。



■ 北朝鮮のミサイル発射、不法不当な蛮行を糾弾する

2006年7月5日 日本平和委員会

 本日未明、北朝鮮は東海岸の各地からミサイルを数発、たてつづけに発射し、日本海に着弾したことが伝えられた。そのなかには、長距離弾道弾テポドン発射も含まれていたの可能性もあるとされている。
 事前通告なしのこのようなミサイル発射は、航空機や船舶の安全と命を脅かすものであり、国際ルールに反するものである。これは、「ミサイル発射のモラトリアム」延長を約束した02年の日朝平壌宣言と、05年の6者協議「共同声明」に反し、国際世論からも完全に孤立する道である。いわゆる北朝鮮の“瀬戸際外交”路線による今回の不法不当な行為は、いかなる理由があろうとも、絶対に許すことのできない暴挙である。
 北朝鮮は武力を誇示し、威嚇により、自らの国際的地位を向上する等という見当違いの態度を改め、国際ルールと日朝平壌宣言の尊重の立場に立つべきである。そして一刻も早く、6カ国協議による話し合いで、諸問題を平和的に解決し、北東アジアの平和秩序を実現すべきである。
 この事態を米軍基地強化をはじめとする日米軍事同盟強化に利用することがあってはならない。それは、軍事態勢強化の悪循環を生み出し、緊張をいっそう高めるだけである。6者協議「共同声明」がうたう、「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」こそが求められている。
 いわゆる北朝鮮の“瀬戸際外交”路線による今回の不法不当な行為は、いかなる理由があろうとも、絶対に許すことのできない暴挙である。
 2002年の平壌宣言に反するのみならず、世界の国際世論からも完全に孤立する道である。
 さる5月29日、日米両首脳は会談後「21世紀の新しい日米同盟」共同文書を発表。始めて「世界の中の日米同盟」を明記、弾道ミサイル防衛協力や日本における有事法制の整備による日米の安全保障協力の深化、日米同盟の変革による米軍のプレゼンスのいっそうの強化をうちだした。
 こうした矢先の今回の行為は、国際世論への挑戦であり、ひたすら世界から孤立する道への選択でもある。
 北朝鮮は武力を誇示し、威嚇により、自らの国際的地位を向上する等という見当違いの態度を改め、一刻も早く、6カ国協議による話し合いによって、平和秩序の確立の立場に復帰することこそが急務であることを明確にすべきである。



■ 日米首脳会談「新世紀の日米同盟」共同文書発表にあたって
― 深まる世界からの孤立・日米両政府の外交路線 ―

2006年6月30日 日本平和委員会

 小泉首相とブッシュ米大統領は29日(日本時間同深夜)会談し、両首脳は小泉発足後の5年間で、日米間の協力関係強化が達成されたことを確認。「21世紀の新しい日米同盟」を宣言する共同文書を発表した。
 共同文書では初めて「世界の中の日米同盟」を明記。「テロとの闘い」などを「(日米)共通の利益」とし、アジア太平洋地域をはじめ、地球規模での日米協力を強調した。
 共同文書は、今日の日米関係を「歴史上最も成熟した二国間関係の一つ」としているが、その内容は、弾道ミサイル防衛協力や日本における有事法制の整備による日米の安全保障協力の深化であり、日米同盟の変革による米軍のプレゼンスのいっそうの強化である。
 いま世界は、国連憲章にもとづく平和の確立か、それともアメリカの覇権主義の横暴を許すのかが鋭く問われている。
 今回の共同文書は、ブッシュ・小泉両政権にとっては、「有志連合」を率いたイラク戦争から3年がたち、スペインやイタリアが政権交代をへて「有志連合」から姿を消しアメリカの孤立がいっそう浮き彫りになる中で、小泉首相の後継に誰がなろうと日米同盟を後戻りさせない「証文」を残す狙いもあったものと考えられる。
 私たちは、日米の軍事協力の飛躍的深化の方向でなく、日米同盟の再編・強化を許さず、日本国憲法の平和的民主的諸条項を守り発展させ、日米軍事同盟を廃棄し、非核・非同盟・中立の日本の実現にむけ、今後とも引き続き全力をあげてたたかうものである。



■ 自衛隊はイラクから即時完全撤退せよ

2006年6月20日 日本平和委員会

 本日、政府はイラクからの陸上自衛隊の撤退を決定した。
 そもそも自衛隊の海外派兵は憲法違反であり、ましてや戦場へ武装して派兵することは憲法を2重に蹂躙するものであり、撤退は当然である。
 さらにイラク派兵が、偽りの口実を根拠に、しかも国連憲章を踏みにじり国連安保理の決議もなく強行されたイラク戦争とその占領をすすめたアメリカの要請にこたえたものであり、この点でも撤退は当然である。
 この大義なき戦争で少なくとも4万〜10万人以上の民間人が尊い命を奪われ、いまだに虐殺が続いている。米兵による民間人虐殺も重大な問題となっている。これに加担した日本は、イラク国民から敵視され、自衛隊もたびたび攻撃を受け、日本国民の命を失った。小泉内閣のこの責任は免れない。
 しかし撤退に当たっても小泉首相は、「国連決議にもとづく正しい指示だった」「自衛隊はイラク国民に大きな貢献をした」などとイラク戦争とイラク派兵を正当化するとともに、航空自衛隊の多国籍軍への支援を継続・拡大する方針を明らかにした。
 空自の活動の実態は、「サマワに駐留している陸上自衛隊の人員や生活物資の空輸が大部分」(防衛庁関係者)で、イラクの復興支援には直接役立っておらず、むしろ武装米兵を輸送するなど、占領軍への支援を直接行っている。米軍への直接支援を行っていない陸自が撤退すれば、イラクでの自衛隊の活動は米軍支援のための輸送に特化し、イラク派兵が「イラク復興支援」のためではなく、アメリカの要請に従って地球規模での日米共同作戦と海外派兵をすすめるためであることをいよいよ鮮明に示すものである。
 私たちは、自衛隊を即時完全撤退させることを求める。



■ 「防衛省」昇格法案の閣議決定に抗議し、撤回を求める

2006年6月9日 日本平和委員会

 小泉内閣は9日、閣議で防衛庁を防衛省に格上げする防衛庁設置法と自衛隊法の一括「改正」案を閣議決定した。これは、日本国憲法の平和原則を蹂躙する暴挙であり、日本平和委員会は満身の怒りをこめて「改正」案の撤回を求めるものである。
 この「改正」案は、これまで自衛隊法上では付随的任務であった国際活動任務を本来任務に格上げし、グローバルに海外派兵することを打ち出している。これにより、「周辺事態」での米軍への兵站支援作戦、テロ特措法やイラク特措法にもとづくブッシュ政権の「対テロ戦争」への協力を、自衛隊法上は「国の防衛」と同格の、本来任務とすることになる。
 また法案では、自衛隊法「改正」の中に、第3条2項に「協力支援活動として・・・」を規定し、平時から米軍との物品役務相互提供協定(ACSA)が公然と運用することを、本来任務のなかに位置付けている。この規定は、いま急速にすすめられようとしているいわゆる「米軍再編」の名のもとでの自衛隊の「従属的一体化」を法律で明文化することを意味するものである。
 またこの間、談合問題で糾弾されている防衛施設庁の解体を連動させて、あたかも当然の法改正かのように装うなど、姑息な手段をとっていることも、この法改正の不当性を告白するものといえる。
 小泉首相は、「省になって当然」と述べているが、このことも改憲勢力の切実な願いであることを代弁しているものである。この法案は、日本を戦争のできる「普通の国」にするものであり、さらに、海外でも戦争できる国家体制づくりをねらったものである。このような法改正で憲法規定を蹂躙することは絶対に許されない暴挙である。
 日本平和委員会は、この暴挙に反対し、法案を廃案にするたたかいに全力を尽くす決意を表明する。



■ 米軍再編「最終合意」推進の閣議決定に抗議する
 
2006年5月30日 日本平和委員会
 
 本日、小泉内閣は、米軍基地再編強化の具体的措置についての「日米合意」を「迅速に実施」することを確認する閣議決定を行なった。
 これらの計画はいずれも、「負担軽減」とは名ばかりで、日米軍事同盟をグローバルな軍事同盟に強化する方向で米軍基地を強化し、耐えがたい苦しみを周辺住民・自治体に将来にわたって押し付けようとする計画である。それゆえに、多くの自治体が反対を表明している。ところが閣議決定は、計画を「政府が責任を持ってとりくむ」とし、事実上、自治体の意思を無視してこれを推進する立場を表明している。米軍のためなら地方自治と民主主義をじゅうりんしてはばからないこのような異常な対米従属姿勢を、断じて許すことはできない。撤回すべきである。自治体、住民、国民は、このような暴挙を決して許さないであろう。
 またこれらの計画は、米軍・自衛隊の陸・海・空司令部の一体化や全国の自衛隊基地の米軍使用など、基地のレベルで自衛隊の米軍への従属的一体化をおしすすめるものである。それは自衛隊が米軍と世界規模で一体になって軍事行動を展開する基地体制をつくりだす、憲法9条改悪と一体の計画である。これは日本の進路の根本に関わる重大問題である。
 しかも閣議決定は、在沖米海兵隊のグアムへの移転費用をはじめ米軍基地強化の費用を支出することを表明している。この費用は3兆円超になるとも言われている。国民には「財政赤字」を口実に、医療や社会保障の改悪、庶民大増税を押し付けながら、このようなアメリカ言いなりの財政支出は断じて許せない。これを中止し、国民生活や地方自治体に振り向けるべきである。
 重要なことは、閣議決定でも、国民の反対世論を前にして、沖縄の新基地建設の内容については明示できないなど、多くの矛盾を抱え込んでいることである。全国の米軍基地強化・恒久化反対の住民・自治体ぐるみのたたかいをいっそう発展させ、当面の7・9横須賀大集会を成功させるなど、米軍の再編強化計画を阻止するために、いっそう奮闘する決意を表明する。



■ 名護市辺野古への新基地建設計画案に関する防衛庁・名護市の「合意」に抗議し、撤回を求める

2006年4月8日 日本平和委員会

 1、額賀防衛庁長官と島袋名護市長が7日夜に名護市辺野古沿岸域への新たな米軍基地建設計画案に「合意」したことに、断固として抗議する。
 これは、名護市民と沖縄県民の圧倒的多数が反対の意思を示している、日米政府の新基地「沿岸域案」をいっそう巨大化・強化し、これを密室談合によって市民、県民に押し付けようとするものである。
 この案は、従来の「沿岸域案」より海を埋め立てる規模を拡大し、国際保護動物ジュゴンの餌場である辺野古沖の藻場をさらに破壊し、豊かな漁場である大浦湾を破壊する計画である。その結果、基地は住宅地域にいっそう接近し、騒音、墜落、事故などの被害を住民にもたらす危険をいっそう強めるものとなっている。
 「合意」は、滑走路をX字型に2本建設することによって住居地域上空の飛行ルートを回避できるとしている。しかし、米軍ヘリや固定翼機が1つだけのルートを飛行するなどということはありえない。それは、普天間基地の実態が如実に示している。しかも、今回の米軍基地の再編は、何よりも海兵隊の「緊急事態への迅速な対応能力」を「強化」するために行われる(日米合意文書)のであり、ヘリ等が他の基地や演習場との間を激しく行き来し、演習を展開しないわけがない。さらに現在の米軍は「長期戦争」の只中の「戦時の軍隊」である。激しい訓練や作戦行動で住民の安全が脅かされ激しい爆音がもたらされることは必至である。2本の滑走路を作ることによって、「有事」の際には、ヘリや固定翼機が集中する作戦拠点にされる危険がある。
 このように、「合意」された修正案は、基地をいっそう強化し、住民に甚大な被害を与える以外の何物でもない。しかもこの案には、従来、県や名護市が新基地受け入れの前提条件としてきた「15年使用期限」は跡形もなくなっており、まさに米軍基地の固定化・恒久化の計画となっている。
 2、このような新基地建設案を、市長との密室の交渉で圧力をかけ、市民、県民に押し付けようとする政府のやり方は断じて許せない。また、島袋市長は、市長選での公約で「沿岸域案反対」を公約に掲げていたのであり、「沿岸域案」をさらに巨大にするこのような案に、市民への説明も一切なく「合意」したことは、自らの公約と市民への背信である。島袋市長は直ちにこの「合意」を撤回すべきである。
 圧倒的多数の名護市民、沖縄県民の願いは、米軍基地の「移設」反対、無条件撤去である。普天間基地を抱える宜野湾市民と伊波市長もそれを求めている。戦後60年間米軍基地に苦しみぬいてきた沖縄県民に、新たな米軍基地の苦しみを押し付ける今回の「合意」案は、決して市民、県民の「合意」を得られないであろう。
 私たちは、名護市民、沖縄県民とともに、この異常きわまる新米軍基地建設案を阻止するために、全力を挙げることを表明する。そして、事態の根本的解決の道――普天間基地の無条件撤去、在沖米軍基地の縮小・撤去の実現のために奮闘するものである。



■ 逗子・池子米軍住宅増設問題
横浜地裁の不当判決に抗議し、逗子市長の控訴を支持する

2006年3月24日 日本平和委員会

 逗子米軍家族住宅の横浜市息への追加建設計画について、1994年11月に、国と県と市との三者間で、「池子地区に米軍住宅を追加建設せず、緑地を保全する」とした三者合意がおこなわれていた。
 しかし、米軍基地再編計画のなかで、「池子の森」(逗子市、横浜市金沢区)の横浜側を壊して、米軍住宅700戸を増設する計画が持ちあがり、逗子市が国を相手に、米軍住宅を追加建設してはならない責務があることの確認を求める訴えの裁判をおこなったのは、至極当然のことであった。
 ところが、横浜地方裁判所第一民事部は、原告の訴えが「法律上の訴訟」に当たらないとして、請求を却下する不当な判決をおこなった。河村裁判長は「政治的、行政的意味での拘束力はあるとしても、原告と被告との間に本件各義務を含む法的な権利義務を発生させるものではないと認めるのが相当」とまったく説得力を持たない判決を下したことに強く抗議するものである。
 これに対し、逗子・長島一由市長は「国がいったん約束したことを、後になって守らなくてもよいというのであれば、自治体は何を根拠に国への協力のあり方を判断するのか」と抗議し、「ただちに控訴する」と表明した。
 私たちは市長の態度を断固支持するとともに、市民、市議会、市長が一体となって、米軍住宅追加建設の白紙撤回を引き続き求める取り組みを支持し、逗子市のみの問題にとどめず、広く国民的な問題として、今後もともに運動を強めることを誓うものである。






■ イラクの武装組織による香田さん殺害に抗議する
――これ以上犠牲者を出さないためにも自衛隊撤退を

2004年10月31日 日本平和委員会

 本日、イラクで国際テロリストグループ・アルカイダと結びつくとみられる武装集団によって、香田証生さんが殺害されたことが確認された。その救出を求めて行動してきたものとして、何の罪もない香田さんの命を無惨に奪ったテロリストグループに対し、満身の怒りを表明する。このような残忍なテロ行為は即刻中止すべきである。それはイラク侵略・占領に反対するイラク民衆のたたかいとは無縁のものである。
 同時に、イラク民衆の命を奪いつづけているイラク侵略・占領を日本政府が支持し、自衛隊を派兵してこれに加担する政策を続ける限り、自衛隊員や日本人の命が脅かされる危険は存在し続ける。我々は日本政府に対し、憲法にも国際正義にも反するこの誤った政策をただちに転換し、自衛隊を撤退させることを強く求めるものである。



■ 普天間基地所属米軍ヘリの墜落に抗議し、普天間基地の無条件撤去と飛行中止、日米地位協定の改定を求める

 内閣総理大臣・小泉純一郎殿

2004年8月23日 日本平和委員会

 8月13日午後2時過ぎに、米海兵隊普天間基地の大型輸送ヘリCH53が宜野湾市の沖縄国際大学構内に墜落したことに対し、満身の怒りをこめて抗議する。同機は、大学の校舎に接触し、住宅地に隣接する大学敷地内に墜落・爆破・炎上した。周辺一体には大小多数の破片が飛散し、地域住民に底知れぬ恐怖を与えた。一歩間違えば大学関係者や民間人に重大な被害を与えかねない事故であった。
 もともと、人口密集地の宜野湾市のど真ん中に位置し、数十機の軍用ヘリや軍用機の離着陸が繰り返される普天間基地は、沖縄の中でも最も危険な基地であり、これまでも重大事故を繰り返してきた。沖縄県の資料に基づけば、復帰後に発生した米軍機墜落事件は、これで41件目であり、アメリカの戦争政策と結びついて同基地での訓練・飛行は、増加し続けていた。このため、宜野湾市民と市長はもとより、沖縄県民も繰り返しその返還を求めてきた。今回の事故は、その危険を改めて明らかにした。
 この状態を放置してきた日本政府の責任は重大である。普天間基地の存続はもはや一刻も許されない。同基地での軍用機運用の一切の停止を求めるとともに、その無条件撤去を求めるものである。これ以外に住民の危険を取り除く道はない。基地の危険を他に押し付けるだけの名護市辺野古沿岸域への代替基地建設はじめ、その移設も許すこともできない。移設計画は撤回すべきである。
 しかも許しがたいことは、沖縄県警が現場検証を要求したにもかかわらず、米軍がこれを拒否し、事故現場を封鎖し、県警に現場検証を行わせなかったことである。これを日本政府が容認したことは重大である。我々は、日本の捜査当局による事故原因の徹底究明を求めるものである。そしてこれを妨げる地位協定と関連合意事項、刑事特別法の抜本改定を求めるものである。また、事故原因の究明もされないまま、イラクへの部隊展開を理由に米軍が軍用機やヘリの飛行の再開を強行したことは断じて許しがたい。即時飛行中止を求めるべきである。
 これらの要求は、いまや県民の圧倒的世論となっている。宜野湾市、那覇市をはじめ、県下の多くの自治体議会でこれを要求する決議が採択されている。
 ところが宜野湾市長や知事が面会を申し出たにもかかわらず、貴職が「夏休み」を理由に面会を拒否したことは言語道断である。都内で休みながら映画やオリンピック観戦に興じている貴職が、この切実な面会に応じられない理由がどこにあるのか? 人命のかかった切実な問題で、訴えに駆けつけた自治体代表との面会を拒否する貴職に、首相としての資格はない。ここには国民の安全や人命を軽視し、何でもアメリカ言いなりの貴職の姿が、まざまざと示されている。
 我々は、かかる態度を断固糾弾すると共に、貴職が県民と国民の声に耳を傾け、以上の点を米政府に明確に要求するよう、断固として求めるものである。



■米軍基地建設のためのボーリング調査の強行をやめよ
普天間基地無条件返還、辺野古移設反対の世論に対する重大な挑戦

 那覇防衛施設局長 西 正典殿

2004年9月1日 日本平和委員会

 報道によれば貴局は、来週にも辺野古への米軍普天間基地代替施設建設のためのボーリング調査を強行しようとしているとされる。
 いま、普天間基地から飛び立った米軍ヘリの墜落事故をめぐって、沖縄県民の中では、普天間基地問題をどう解決するべきかについて真剣な議論が続いている。そして、世論調査でも圧倒的多数の県民が辺野古への移設反対、SACO合意見直し、普天間基地の無条件返還または国外移設を求めている。相次ぐ県下の多数の自治体決議でも、同様の要求がなされている。貴局がもし調査を強行しようとするならば、それはこうした県民世論に対する重大な挑戦といわなければならない。
 宜野湾市での重大事故が示したものは、普天間基地と市民生活とが共存できないということである。普天間基地の危険を言いながら、SACO合意による辺野古移設にしがみつき、この事態をこれまで放置してきた貴局を含む日本政府の責任は重大である。危険を他に押し付け、重大な環境破壊をもたらすだけの辺野古移設に多くの市民、県民が反対するのは当然であり、移設路線は完全に破綻している。
 こうした中で貴局は、これまで拒否してきた「住民説明会」なるものを参加者を限定して形だけそそくさと行い、住民の反対で4月以来実行できないできたボーリング調査を強行しようとしている。これは、移設反対の流れが強まるのを恐れて、とにかく建設の既成事実だけは作っておこうという、卑劣な意図に基づくものと言わなければならない。
 貴局及び政府がやるべきなのは、県民の声に耳を傾け、移設のための作業を全面的に中止することである。そして、普天間基地の被害を根絶するためにどうすればいいのか、県民、国民と正面から向き合って論議することである。
 我々はこうした立場から、ボーリング調査の強行を中止することを要求する。そして、改めて移設計画の撤回と、普天間基地の無条件全面返還を求めるものである。



■多国籍軍への自衛隊参加は、日本国憲法違反
自衛隊は即時撤退し、国連中心の復興支援を求める

2004年6月17日 日本平和委員会

 アメリカ政府は、6月末にイラクへ「主権移譲」するといっているが、アメリカの方針は「主権移譲」をきわめて限定的なものにし、アメリカがあくまで占領軍の指揮権をにぎりつづけようとしていることは明白で、米軍の規模も減らすどころか増派さえ公然と検討されていることが報道されている。
 小泉首相は、国民に説明もせず、日米首脳会談でイラクの多国籍軍への自衛隊の参加を約束したが、これまでの政府見解からも説明できない、日本国憲法違反である。
 政府見解は、武力行使を伴う多国籍軍への参加は、憲法上許されないと言いつづけてきたし、「多国籍軍の中に武力行使を伴う部分があれば、他に伴わない部分があったとしても、そこに参加することは、指揮下に入ることになって許されない」というのが憲法解釈であった。
 ところが6月15日にまとめた「基本的考え方」は、「自衛隊は多国籍軍の中で活動を継続すべきだ」とうたう一方で、「参加」という表現を避けている。
 焦点の指揮権についても「統一された指揮」を「統合された司令部」と言い換えるなど、詭弁を弄し、国民を欺くためにやっきとなっている。
 「人道支援のため」という口実も、完全に崩れ去っている。政府が宣伝する自衛隊の給水活動は、イラク国民の支援活動に従事するボランティア団体の400倍もの予算を使いながら、実際に提供している水は、その一割以下である。しかも見逃せないのは自衛隊の駐留が、NGOやボランティア団体の活動を、重大な困難に陥れていることである。
 今回の派兵継続は、日米同盟の重視のみを最優先にし、「有志連合国」が、次々と撤退しているなかで、世界の流れから際立って孤立を深める道である。
 私たちは、イラクからの自衛隊のすみやかな撤退を、改めて強く求めるものである。



■参議院選挙で平和の選択(洗濯)を!7月11日、投票に行こう! あなたの1票が日本を変えます
今度の選挙は日本の平和の進路がかかった選挙。私たちはそう考えます。

◆有事法制、イラク派兵、多国籍軍参加など、アメリカの危険な戦略に日本を加担させる道に、YES? NO?
 日本政府は、無法なイラク侵略戦争を行った米占領軍を支援するために、戦後初めて戦闘地域に武装自衛隊を派兵しました。これに続いて、アメリカの戦争に自衛隊を参戦させ国民を動員する有事法制を強行しました。そして参院選挙直前に、国会にもはからずブッシュ大統領に多国籍軍への参加を約束しました。憲法を次々に踏みにじって、アメリカの戦争に参加する国づくりをこのまま許していいでしょうか?
◆憲法改悪めざす道? それとも憲法第9条を守り活かす道?
 今度の選挙ほど、憲法改悪が重大争点になっている選挙はありません。ある党は、参院選挙公約に「平成17年(05年)11月をめどにわが党の『新憲法草案』を起草し、自衛隊の位置づけと国際貢献における役割、集団的自衛権などについて明確にします」「憲法改正の具体的な手続きを定める法律案作成の準備を進めています」と明記しています。この党の幹部は、「今年、参院選をやると(今後)3年間、国の政治は安定する。そのときに(改憲を)」「戦後初めて訪れたラストチャンスが今度の参院選」と述べています。また与党には、「加憲」の名で「憲法9条改定も議論の対象にする」と述べている党もあります。
 野党の中にも、「創憲」の名で改憲を公約に掲げ、06年までの改憲案作りを決め、「憲法提言の中間報告」では、9条を変えて「国連の集団安全保障活動を明確に位置づける」「『制約された自衛権』について明記する」ことなどを提案している党があります。
 今度の選挙で選ばれる議員は、憲法を変えるのか、守るのか、実際に問われる立場に立たされることは確実です。あなたはどちらを選びますか?
◆軍拡やお金持ち減税のための消費税増税にYES? NO?
 今度の国会では年金改悪法が強行され、国民の7、8割がこれに反対しています。この問題をめぐって消費税増税問題も争点に浮上してきました。ある与党は、その「税制改革大綱」で、「2007年度をめどに消費税を含む抜本的税制改革を実現する」と明記しています。野党にも、2007年度から3%の消費税増税を行う方針を掲げている党があります。低所得者ほど高い比率でかかり、大企業は価格に転嫁してまったく負担しないでいいのが消費税。どんな名目であれ、消費税の増税は問題です。しかもこれが、1兆円以上もかかるといわれる「ミサイル防衛」システム導入などの大軍拡や、大企業減税の財源に充てられるとしたら・・・。消費税増税にあなたはどんな答えを?
◆日米安保条約(日米軍事同盟)をどうする?
 「日米同盟を基軸に」「日米関係を成熟した同盟に強化」「日米安保条約=日米軍事同盟をなくして、世界でも際立つアメリカいいなり政治を断ち切り、世界とアジアの平和・友好に貢献する日本に」――日米安保条約に対する態度も各党まちまちです。米政府が「地球規模の日米同盟」を求めている中で、様々な問題が生まれています。このなかで日米軍事同盟をどうするか、日本の未来にとって、いま私たち一人一人に問われる問題です。
21世紀に生きる子どもたちの未来を考え、しっかりと1票を行使しましょう!



■有事関連法案の衆院での採決強行に抗議する

2004年5月20日 日本平和委員会

 本日、政府・与党は、有事関連法案を民主党と共同修正の上、衆院本会議で採決強行した。この暴挙に対し厳しく抗議すると共に、参院でこれを阻止するために全力をあげてたたかうことを表明するものである。

 衆院でのきわめて不十分な審議の中でも、アメリカが海外で引き起こす戦争に自衛隊が参戦しこれに日本国民を動員していく、法案の危険極まりない内容が浮き彫りになった。「周辺事態法」では認められてこなかった弾薬の提供をはじめ、戦闘地域での米軍への全面的支援が可能になっていること、自治体や民間事業者も政府からの米軍支援の要請に応じる「責務」を負わされるが、その支援内容や事業者の範囲は無制限であること、全自治体に自衛官・警察官が加わる「国民保護協議会」を設置し、住民動員の計画を策定し、国民の「訓練」や「啓発」が進められること、ACSA(日米物品役務相互提供協定)改悪で海外でのあらゆる事態に米軍と自衛隊が共同対処する仕組みがつくられること――などなど、それはまさにアメリカの戦争への参戦・国民総動員法というべきものである。しかも、そのアメリカの戦争がいかに無法で残虐非道なものであるかは、いま進行しているイラク侵略・占領の実態を見れば明白である。

 このような重大な内容の法案を公聴会も開かないなど、まともな審議もせずに強行したことは断じて許されない。

 この法案のめざすものは、世界の平和の流れに完全に背を向けたものである。それは、世界から孤立し、平和憲法に完全に背反し、国民の平和の願いと根本から矛盾するものである。私たちは、これを参院段階で廃案に追い込むために、平和を願う国内外のすべての人々と共に手をつなぎ、全力をあげて奮闘する決意を改めて表明するものである。


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イラク侵略戦争の責任を認め、米軍をイラクから撤退せよ イラク占領軍支援のための派兵と財政支出を迫る来日に強く抗議する
アメリカ大使館への申入書(2003年10月17日)
「イラク特措法反対の特別決議」 2003年6月25日
戦場に地上軍を派兵、無法な軍事占領を支援する「イラク特措法案を阻止しよう 2003年6月17日
有事法案の衆院での強行に断固として抗議する 参院での徹底審議を求め、廃案のために全力を尽くそう 2003年5月15日
イラク復興人道支援室(ORHA)への要員派遣を中止せよ
クラスター爆弾配備の実態を公表し、廃棄せよ
「米英などによるイラク攻撃開始に抗議する−無法で非人道的な戦争をただちに中止せよ」
アメリカのイラク攻撃最後通告と小泉首相の『支持』表明に断固抗議する



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